◆ リサーチフェイズ:シーン15 ◆ 「千早冴子の《真実》」


 Scene Player ―― “腐肉漁り”永倉 高利

 Scene Card ―― マネキン(逆位置)



RL:シーンプレイヤーちょっと続いちゃうけど、ごめんね。

伊達監督:OK、OK。

RL:永倉プロデューサーが、千早冴子にCMEの危機を伝えるシーンです。さっきの続きの通話かな。

永倉P:「――気になったことがあるんですが、これはうちの撮影には直には関わんねえ話なんですよ」

千早冴子:「と、おっしゃいますと」

永倉P:「御社に害がありそうな話がありまして」

千早冴子:「それは」

永倉P:「そこをどうにかしたら、何か“いいこと”があるかなと考えてるわけなんですよ」

千早冴子:「映画とは別件のお話なんですね?」

永倉P:「(真面目に)はい。映画は映画でフラットに評価して頂いて、正式に配給して頂ければそれでこちらは充分」

千早冴子:「――さすがです、プロデューサー。では、そうね、これは“我が社のための協力依頼”です。私からの」

永倉P:「ええ」

千早冴子:「社外のフリーランスに荒事の依頼をするときと同じく、報酬はお支払いさせて頂きます」

永倉P:「そりゃ助かります」

千早冴子:「前金でシルバー3、成功時にはゴールド。いかがでしょうか」

永倉P:「(セクレタリの通話口を塞いで)よっし!」

ALL:(笑)

永倉P:「ああいえいえ、すみません。こちらの話です」

千早冴子:この前金は、キャスト3人で1点ずつ受け取っておいてください。「それで、その内容は」

永倉P:「ええ。このあと6時、ですか。御社と元映画監督の○○さんが会うお約束があるでしょう」

千早冴子:一瞬黙ってから「よく、それをご存知で」

永倉P:「こっちも業界の者なんでね、ツテがありまして。で、それはそこに私たちがどうこうしようって話じゃあなくてね。“どうこうしようとしてる連中の話”を掴んだんです」

千早冴子:「――……はい。」

永倉P:「ゴールデンドラゴン・ピクチャーズです。監督は既に殺されていて、アンタ達の前には彼を名乗る偽物が現れる。ゴールデンドラゴンの差し金の」

千早冴子:「その、証拠なり目撃者なりはお手元に?」

永倉P:「いますね。」

千早冴子:「そうですか」


CMEの重役は静かに考えこむ。


千早冴子:「非常に重要な情報をありがとうございます。――あなた方を信じたい気持ちはあります。けれど私はすぐにはそうできない。理由は3つあります」

永倉P:久しぶりに聞いた!w

千早冴子:「ひとつ。私には立場と責任があり、社に迫る危機に際して、根拠なく伝聞を信じるわけにはいきません。ふたつ。スパイがそれほどの変装能力を備えているのだとすれば、この通話の向こうに居るのが永倉プロデューサー、本当にあなたたちなのかどうかがまだ分からない」

永倉P:「確かに」

千早冴子:「3つ目は…… あなたならもうお分かりですね」

永倉P:「ええ」

千早冴子:「では、こうしましょう。夜明けのお約束の時間に、エージェントと一緒に私も出向くことにします」

永倉P:ほう?

千早冴子:「貴方のおっしゃる目撃者のかたを、貴方たちの手でそこにお連れ頂けますか。そうすれば、私の責任で真実を見極め、判断することができます」


RL:彼女の言葉をルール的に翻訳するとこうなります。千早冴子は、このシナリオにおいてシーンに登場した場合、「神業を1つだけ持つエキストラ」として扱います。持っているのはフェイトの《真実》。これをエルシーに直に対面して使うことで、目撃談が本当なのかどうかを自分が責任もって判断できるよ、と。

永倉P:なるほどなるほど。「了解しました、いいでしょう。6時に待ち合わせ場所に伺います。一件、こっちで相談することがあるんで切りますね」

千早冴子:「ええ」

永倉P:「今回の画に使うかどうかを」

千早冴子:「画に。」

永倉P:「ああ、いえ。お気になさらず」



★舞台裏

伊達監督が情報収集判定。【殺された男】の情報にあった〈社会:メディア〉の判定に成功。彼とCMEの会合が行われる予定だった場所のアドレスを手に入れる。


RL:当該のアドレスは、イエローエリアの商業施設の屋上を示しています。昔は小規模ながら空中庭園が造られ、子供の遊具が置かれた、市民のささやかな憩いの場でした。が、商業施設本体の不景気につられて、今となっては見る影もない。そんな寂れた屋上庭園です。

伊達監督:「最ッ高に滾るじゃないか……! クライマックスに相応しいな!」


ハヤテは【ウェストワード】の情報収集判定に成功。

【ウェストワード】

〈社会:ストリート、警察〉

11:
金のためならどんな汚れ仕事も辞さない、マフィア崩れの荒事屋(スタイル「レッガー」)。

13:
雑に銃弾をばら撒いているように見えるが、その命中精度は凄まじい(スタイル「カブトワリ×2」)。

16:
エルシーの見た【殺された男】に手を下したのはウェストワードである。対象に戦う能力がなかったため、いとも簡単に事は済んだ(=神業はまだ全く使用していない)。


RL:使用していなかった、ですが、さっきのFS判定中に《とどめの一撃》一発は使いましたね。

伊達監督:そうするとあと《とどめの一撃》一発と……

永倉P:《不可触》。何かをひとつ揉み消せる。ジョシュの方は《不可知》と《神出鬼没》しか分かってねえか。

瀬戸ハヤテ:想定通りなら《電脳神》。【エルシーの父の相棒】にニューロだったって書いてある。

永倉P:あ、そうか。

伊達監督:永倉の携帯ハッキングしてきたりもしてたしな。

永倉P:カゲムシャの《神出鬼没》は扱いどうなるんだ?

RL:そこはプレイヤー情報として公開予定の事柄なのでここで明かしておくね。


・ジョシュのカゲムシャ神業《神出鬼没》は、PCたちとの戦闘で用いられることがない代わりに、ウェストワードたちの目的上、用途が決まっている。

・夜明けのCMEとの会合まで「目撃者(エルシー)を生き残らせる」、またはそれまでに「ジョシュを殺す」のどちらかを果たせない限り、ジョシュは必ずエンディングでこの神業を使い「殺された男の代わりにエージェントと接触し、CMEに潜入する」という目的を果たしてしまう。


伊達監督:なるほどなるほど。護衛か打倒、どっちかはやっとけって話だ。

永倉P:ギミック的に扱う。

RL:そうそう。

永倉P:戦闘中に突然死体と入れ替わったりしない。

RL:そうw 唐突に老監督が「ここはどこかのう……」って出現したりしない。

ALL:(笑)