Scene Player ―― “打ち上げ花火”伊達 康介
Scene Card ―― ミストレス(逆位置)
伊達監督:そろそろ、MPのためのシーンをやっていきたいね。
永倉P:そうだな。順番どう行くか。
RL:それじゃ、現状のPL的な説明をしておくね。皆さんは、クライマックスに移行するための条件はちょうど手に入れています。先ほど監督が明かした、「殺された老監督と、CMEのエージェントが会うはずだったアドレス」。あそこに約束の6時に行こうとすれば、ウェストワードたちは、CMEに潜入計画をばらされると思って襲って来ますのでクライマックス戦闘が発生します。あるいは、それを見越して君たちがあえて待ち構え、迎え撃ってもいい。
伊達監督:なるほどなるほど。
RL:ただし、「約束の夜明け前6時」という時刻は動かないので、やりたいシーンをやってから行くだけの時間はあります。
永倉P:相談がしたいかな。
伊達監督:オレから相談したいことがある。オレがシーンプレイヤーで、チーム組んでもらっていい?
永倉:OK。
伊達監督:車の中で、タカちゃんと二人で話したい。
RL:では、エルシーとハヤテは飲みものでも買いに行っていましょうか。
瀬戸ハヤテ:ん。
永倉P:「順調だけどよ」
伊達監督:「おう。素材もバッチリ集まってるし、言うことないね」映像素材を確認しながら。
永倉P:「とりあえず、話のオチはどうすんだ?」
伊達監督:「……そこだよなー」
永倉P:「このままだと、エルシーさんを千早冴子の前に出して、事実を確かめて貰うのが事件としちゃあ丸いんだが」
伊達監督:「おう」
永倉P:「映画として見ると、千早さんが唐突に現れた謎の探偵であんまり映り良くねんだよ」
伊達監督:「あー」w
永倉P:「望ましくねえだろ」
伊達監督:「望ましくねえなー。謎の中国人ばりにやっちゃいけねえ展開だな」
ALL:(笑)
伊達監督:「だからここは…… 奴らを“迎え撃つ”クライマックスがいいと思うんだよ」
永倉P:「ほう。こっち側が状況を整えとくと」
伊達監督:「そうそう。ハリー・バーリィはヒロインを守るべくN◎VA中を逃げ回るんだが、それはただ逃げていたんじゃなく、あちこちで情報と装備を整えて相手を迎え撃つためだった」
永倉P:「ふんふん」
伊達監督:「追い詰められたネズミはそして猫を噛む!」
永倉P:「OK。で、あとひとつは」
伊達監督:「うん」
永倉P:「……話の流れだと、エルシーさんの父親の信頼した“ハリー”は、あのジョシュって男だったわけだが」
伊達監督:「ほんと今回の流れ、一から十まで奇跡じみてるよな!(目を輝かせる)」
永倉P:「うん、あー、おう。……それをだ、どっかに落とし込むか?」
RL:彼らの間には、今のところ面識はない。どうとでもできる。
永倉P:「どうにかジョシュに伝えることで、感動の再会を果たすかどうか、だ」
伊達監督:「タカちゃん、気が合うね。オレが相談したかったのはジョシュの件なんだよ」
永倉P:「何だ」
伊達監督:「まあ、なんつーか今、映画を撮影してるわけなんだけど。これから始まるのがガチの殺し合いってのが、いつもとは違うところでさ」
永倉P:「まあな!?w」
伊達監督:「なー」
永倉P:「で、康介は何が撮りたい」
伊達監督:「……」
永倉P:「お前が、この映画を撮っているんだ」
伊達監督:「……。このまま、ありのまま全てを撮りてえんだよ」
永倉P:「このまま行ったら、まあ俺たちにできたらだが、ジョシュを殺して悲劇のエンドもありうるわけだが、それでいいか」
伊達監督:「そこだ。ジョシュをよ。ぶっちゃけて言うと、殺したくないんだわ」
RL:!?
伊達監督:「ジョシュ、こいつは情報からすると、罪を償わなければならない悪人だ」
永倉P:「ま、やることやってっからな」
伊達監督:「だが、その成り立ちにはめちゃくちゃ同情するんだ、オレ」
永倉P:「……まあな。業界干されて。一歩間違えりゃ俺たちの姿だ」
伊達監督:「しかもだぜ、これが大事! どんな役にもなり変われるすっげえ役者だぜ!」
永倉P:「……おま」
伊達監督:「オレはこいつで映画が撮りたい!!」
ALL:は!!!?(笑)
永倉P:「始まりやがったこのバカ!」
伊達監督:「ま、でも悪事の部分をだ、無かったことにはできないだろうから」
永倉P:「……。(こめかみを叩いて考えこんでいる)」
伊達監督:「罪を償ってもらってムショから出てきた頃に、なるかなあ……」
永倉P:「……あー。よし、よし、よし。わかった。つまり」
伊達監督:「うん!」
永倉P:「ジョシュを殺さず。ウェストワードに手を引かせて。エルシーさんを守って、千早冴子に真実を見抜かせた上で、ジョシュの身柄を警察じゃなくてこっちで確保しねえといけねえんだな!?」
伊達監督:「(ぱちんと両手の指を鳴らして)さっすがタカちゃん、理解が早い!」
永倉P:「無茶振りすぎるだろバカ!!!」
伊達監督:「タカちゃんなら何とかなるよ! いつもしてくれんじゃん!」
永倉P:「分かった、やろう」
RL:(息を飲む)
永倉プロデューサーは、自分の持っている神業なら何とかできると言っている。
伊達監督:「ありがとタカちゃん。正直言って、悪党の所業に目をつぶるんだから、人間倫理としちゃあどうなんだって言われたらぐうの音も出ねえんだが。オレは人間である前に、映画バカなんでね」
永倉P:「――知ってるよ」(ぽつりと)
伊達監督:「災厄前の映画“BEAST BIND”で言うなら、【エゴ:映画を撮りたい】を持ってんのよ!」
永倉P:「知ってるよバカ。……んじゃ、だ。まず瀬戸にこれを伝えて…… アクションすんのはアイツだからな!? あいつがジョシュ殴り殺しちゃったら終わりだからな」
伊達監督:「あ、そだね」
永倉P:「千早冴子とジョシュについては俺に任せろ。ただそれは社会的な面の話で、物理面ではどうにもなんねえ。そこは瀬戸とお前で何とかするんだ」
伊達監督:「なんでもやるさ、やりたいことと映画のためならな。じゃ、主演俳優とちょっと話してきますか」
★舞台裏
RL:ハヤテ、欲しいものとかある?
瀬戸ハヤテ:RL。“ジョシュのアドレスが欲しい”っていう場合、どうすればいいかな。
RL:ジョシュの!?
瀬戸ハヤテ:(頷く)
RL:じゃ、情報収集と同様に扱ったうえで、目標値をジョシュの制御値にしようか。
瀬戸ハヤテ:判定の技能。〈コネ:ハリー〉で打てる?
ALL:……!!
RL:……打てます。
永倉P:うお。
伊達監督:(拍手)
RL:その場合は、こうしましょう。コネを持っていればふつうはアドレス自動的に手に入るんだけど、飽くまで役の名前であって本人の本名と言うわけではないから、判定に成功はしてもらう。目標値はなしでいいよ。
瀬戸ハヤテ:OK。〈コネ:ハリー〉〈交渉〉。カードはダイヤの2。これに切り札。
RL:え!?
瀬戸ハヤテ:クラブのエースとして扱う。達成値は21。
RL:ここで切るのか! ……わかりました。それでは、探偵事務所に残されていた、エルシーの父の相棒のアドレスがそれだった事にしましょう。ジョシュが捨てられずに持っていた、古い古いポケットロンに繋がります。
監督の瞳がぎらついた。