◆ リサーチフェイズ:シーン20 ◆ 「から騒ぎ」


 Scene Player ―― “打ち上げ花火”伊達 康介

 Scene Card ―― ヒルコ(逆位置)



伊達監督:オレのMPシーンがあと1個あったよね。瀬戸とエルシーにチームで登場を頼みたい。決戦前に、エルシーとハリーが話をするシーンを撮りたい。

RL:なるほど。


伊達監督:例の倉庫兼車庫で、瀬戸だけ近くに引き寄せて。「瀬戸ちゃん。追加でシーンが撮りたいんだ」

瀬戸ハヤテ:「はい」

伊達監督:「探偵ハリーと、その尊敬する師匠の娘エルシー。さっき映像をチェックしたらさ、父親の探偵事務所のシーンで、エルシーが頬を赤らめてるんだよな」

瀬戸ハヤテ:「?」

伊達監督:「(口元に手を添えて)恋のシーンが撮れる……!」ガンギマリの顔で。

瀬戸ハヤテ:「流石にどうなんですか!?」w

伊達監督:「オレも思った。流石にどうかと思った」

瀬戸ハヤテ:「思ったんじゃないですか!!」

永倉P:人として……!w

瀬戸ハヤテ:「か、彼女は本気なんですよ!?」

伊達監督:「頬を赤らめただけだ。まだ本気の恋かどうかは分からない」

瀬戸ハヤテ:「いや、そういうことじゃなくて!!」w

伊達監督:「お、おお?」

瀬戸ハヤテ:「ですから!」

伊達監督:「本気で本物。今のところ彼女が動かされる感情ってのは確かに生で本物だ」

瀬戸ハヤテ:「………………」

伊達監督:「おっ。そんな目で見られると思ってたぜオレは!」

ALL:(笑)

瀬戸ハヤテ:「流石にあの…… 架空の存在に恋させるのはあんまりじゃないですか……?」

伊達監督:「やっぱり!?」

永倉P:わかってんじゃねえか!w

伊達監督:「そうは思うんだけどさ、それでも、撮りたくならない!?」

RL:カブキ●だったこの人!!

瀬戸ハヤテ:「監督が撮れってんなら撮りますけど、けどあの」

エルシー:「あの、何かトラブル…… でしょうか?」

瀬戸(ハリー):『(キリッと振り返る)ああ、すまない。少しだけ待っていてくれ。どうしてもコウが俺に話したいことがあるらしい』

エルシー:「わかりました」ハリーと正面から向き合うと少し目を合わせづらそうに向こうを向くけれど、彼に何かを頼まれるのがちょっと嬉しいような様子で。


伊達監督:「(カメラを向けながら)おお、いい感じだな…… 思ったよりキてるな?」

瀬戸ハヤテ:「あのう、やっぱり全部明かすべきなんじゃないでしょうか……!」

伊達監督:「(ハヤテの肩に手を置いて真剣に)気を強く持つんだ」

永倉P:お前!!w

伊達監督:「ある災厄前の名言に、何かを捨てることができない人間には、何も変えることはできないという有名なセリフがある」

瀬戸ハヤテ:「それはふつう捨てるのは自分のものですよね!?」

伊達監督:「じゃ、頬を赤らめたシーン、目を合わせられないシーンといいのが撮れてるから、それを適当に繋ぐから、ちょっと会話だけしてくれる? 恋愛の話をしろとか落とせとかは言わないからさ!」

瀬戸ハヤテ:「雑……!!」

伊達監督:「これは雑じゃなくて、瀬戸ちゃんを信頼してるんだよ!」

瀬戸ハヤテ:「……わかりました…… 分かりましたよ…… え、でも何の話をしたら……」

RL:では彼女は、車庫にある、昔ハヤテがWINDSとして搭載されていたおんぼろ車の周りをゆっくり回って、ボンネットをそっと撫でています。


瀬戸(ハリー):『何か、そいつに気に入ったところでもあったか』

エルシー:「いえ、……なんだか、ほら」正面に回って、指で四角を作って覗いて。「お顔が可愛い車ですね」

瀬戸(ハリー):『ずいぶんと乗っちゃいない古い車でね。もう、動きもしない。だからどこかで捨てなきゃ捨てなきゃと思いつつ、結局捨てられないでいるのさ』

エルシー:「……もしかして、父とも乗っていらした車なんですか」

瀬戸(ハリー):『……、』

エルシー:「ご、ごめんなさい。余計なことを訊きました」

瀬戸(ハリー):『いや。……俺が運転手になってね。アイザックさんを乗せて、どこへでも行ったもんさ』

エルシー:ボンネットをぽん、ぽんと撫でて、車に。「……ありがとう。会えてよかった、あなたに」

瀬戸ハヤテ:「……、」

エルシー:振り返ってちょっと恥ずかしそうに笑います。

瀬戸(ハリー):『そう言ってもらえるなら、そいつを残していた価値もあるかな。これは、まだまだ捨てられそうにない』


エルシー:「これから、どこに行くんでしょうか」

瀬戸(ハリー):『君には証言をしてもらう必要がある。君が見てしまったヤバいシーンの話。あれを、ある人物に話してほしい』

エルシー:「警察の方、でしょうか?」

瀬戸(ハリー):『いや、その“見てしまった場面”の、取引の関係者だ』

エルシー:「そっか、そうすれば…… さすがハリーさん」

瀬戸(ハリー):『全部、あの二人が情報を仕入れてくれたのさ』

伊達監督:見つめあう二人。“できたら抱き寄せて”って書いて瀬戸にだけ見えるように。

永倉P:ひっでぇカンペ出しやがった!!w

瀬戸(ハリー):……すっと近づいて『君の命は必ず、俺達が守る。依頼人の身を守るのは、探偵の仕事だ』

エルシー:ぱぁっと顔が赤くなって、涙がぽろぽろっと零れて、思わずハリーに抱き付きます。「……父さん……!」

瀬戸(ハリー):『――……、』

エルシー:「(ぱっと離れて)……ご、ごめんなさい! 判ってます、」

瀬戸(ハリー):『……いや。きっと俺は、ほんの少しでもあの人に近づけたんだ。ありがとう。そして、その涙は全てが終わるまで取っておいてくれないか』

エルシー:「……はい」

瀬戸ハヤテ:少し顔を逸らしてカメラ映えするようにしておいて。

伊達監督:よし、ここでカット!


MP+1。これでシナリオルールの「Masterpiece Point」はフルの6点に届いた。


永倉P:(胸を押さえながら)これほんとに敵はPLの良心だな……!?w

瀬戸ハヤテ:……あのね、私はPLの良心は痛んでないんだけど、キャラクターの良心はめちゃくちゃ痛んでるw

RL:逆の人いた!!



★舞台裏

永倉プロデューサーが購入判定。「バトルフード」を買う。