◆ Ending 03 ◆  「鳥も生あるものなれば」


 Scene Player ―― “フェイタル・ゾーン”



GM : フェイタルゾーンのシーン。対抗種の研究関連施設。君が到着すると、守衛室にぎゅうぎゅうづめになった、昔の知り合い、引退したエージェント、前の支部での同僚なんかが。






高原 : (知人)「おー、ほんとに渡辺だ!」

GM : (知人)「いたいた、おかえり!」

あとり : (知人)「おお三郎、生きてたか!」

FZ : 「うむ。お疲れさまです。あ、どうも先輩。あの、」

高原 : (知人)「お前、コードネームもらったんだって!?」

FZ : 「皆に言いたいことがある」

GM : (知人)「“フェイタル・ゾーン”」

あとり : (知人)「かっけー」

高原 : (知人)「おおー」

FZ : 「……言いたいことがある」

高原 : (知人)「なになになに」

あとり : (知人)「どうした、ゾーン」

FZ : 「聞け」

高原 : (知人)「おう」

GM : (知人)「はい」

FZ : 「解散」



(沈黙)



知人たち : 「……えーー!!」

FZ : 「いや、ありがたくはあるんだが、今日は、」

GM : (知人)「そりゃねーよ!」

高原 : (知人)「こんだけ集まったってのに!」

GM : (知人)「なあ」

高原 : (知人)「大きなヤマが……あるんだろ?(ポーズ)」

FZ : 「いや、あったが、もう終わった」

知人たち : 「えええええ」

あとり : (知人)「終わったんならお前、あとは……仕上げじゃねえかよ」

高原 : (知人)「それそれ!」

FZ : 「わかった、わかった! 誰か……ええい、私がやる!(携帯でTEL)あー、もしもし……」

GM : お。

FZ : 出前で適当にパーティセット的なものを頼みたい。揚げ物とかの。あとビール。

GM : あ、財産ポイント余ったって言ってる?

FZ : 言ってる(笑)

GM : ……OK(笑)

高原 : (知人)「ここなの? ここでやんの?」

FZ : 「ここでいいだろう、大所帯だし」

GM : (知人)「狭いよ? お前入るとこないかもしんない」

FZ : 「私はまだ用事があるんだ」と、施設の奥にずかずか入っていく。






GM : では。汐は先に自分の部屋に落ち着いたことにしましょう。

FZ : とんとん。(窓を叩く)

GM(汐) : (窓の下からにゅっと出てくる)

FZ : 「うむ。よし」

GM(汐) : 「(なあに?という顔)」

FZ : 「ちょくちょく来るからな」

GM(汐) : 「……」

FZ : 「さみしくないぞ」

GM(汐) : 「…………」

FZ : 「大丈夫だ」

GM(汐) : 「(狭い所に入ってしゃがむ真似)」

FZ : 「そうだな。お留守番だ」

GM(汐) : 「“おかあさんしか、いれないよ”」

FZ : 「それでいい。……が、お母さんてあれか。白い手の。カン高い声の」

GM(汐) : 「(うなずく)」

FZ : 「(カン高い声で)フェイタルゾーンダヨ!?」

GM(汐) : 「(きゃっきゃと笑い転げる)」



FZ : 「……うん。笑っていればな、結構いいことがあるぞ」

GM(汐) : 「?」

FZ : 「そういうものだ」

GM(汐) : 「……(口の端に指を引っかけ、にー、と笑った顔に)」

FZ : 「うん。……そうだな、窓越しやモニター越しでも、いっしょにビデオを見たりくらいはできるだろう」

GM(汐) : 「(部屋の奥のテレビを指す)」

FZ : 「そうそう。あれを使ってな。私はここから見るから」

GM(汐) : 「(うなずく)」

GM : 入り口のほうから、「渡辺ー、届いたぞ?」と知り合いの声。

FZ : 「ああ、私が出る! ……ああ間違えた、これは違う。ちょっと待ってもらえ! ああもう。……あー、ちょっとあっちに、」

GM : と、再び汐と顔があった時。



GM(汐) : 「…“ありがとう ございます。 やっぱり あなたが、 わたしを たすけてくだすった おうじさま ですね”」




 汐が、にっこり笑って頭を下げた。



GM : それから、はたと、考え込む。何か他に伝えたいことがあった……とこめかみに指をあてていてから、あなたが手の中で弄んでいた携帯電話を、

FZ : (実際手に持っていた)うん。

GM : それを見てぱちんと手を叩く。そして、コンコンと窓を叩いて、それを指さす。

FZ : 「うん? 電話か?」

GM(汐) : 「(うなずく。自分の髪の毛を手で左右ふたつにまとめるジェスチャー)」

FZ : 「ええと、相浦か?」

GM(汐) : 「(うなずく)」

FZ : 「相浦に電話をする。うむ。待っていろ。」ぴっぽっぱ。「もしもし」

GM : あとり、登場してあげて。

あとり : 「はい」

FZ : 「相浦か。今な、」

GM(汐) : 「“こっちゃ 来(こ)、こっちゃ 来”」言いながら、隣の部屋を指している。

あとり : 「どうしました?」

FZ : 「誰かいるのか? 隣の部屋に」

GM(汐) : 「(少し考えてから、首を振る)」

FZ : 「今いるわけではない。うん?」

あとり : 「あの」

GM(汐) : 「(隣の部屋を指し、外を指し、とんぼのめがねの手まねをし、色々と忙しくジェスチャー)」

あとり : 「もしもし?」

FZ : 「ちょっと待て、いま解読している」

あとり : 「か……?」

FZ : 「前に、いたことがある?」

GM(汐) : 「(うんうんとうなずく)」

FZ : 「そうか。あのな相浦、」

GM(汐) : 「“こっちゃ 来、こっちゃ 来”!!」

FZ : 「こっちの施設な」

あとり : 「あ、はい」

GM(汐) : 「“イギリスじんの によいが”、“どんぶらこ”!!」

FZ : 「とりあえず来いということだ」

あとり : 「あの、場所教えてください」

FZ : 「!! メールで送る」

GM(汐) : 「“それでも ももが! ぬけません!!”」

FZ : 「おおお。混乱してきた。早めに来い」場所をメールで送信。

GM : 了解。

あとり : ぺーぺーぺーぺ、ぺっぺぺー。ぺっぺれれっぺっぺー。

高原 : 自転車!?

GM : じゃあ、あとりががんばって自転車で隣の市まで来る間に(笑) フェイタルゾーンはすっかり即席飲み会に巻き込まれて。






GM : (知人)「お前それ、コードネーム自分で考えたの?」

FZ : 「いや、違う。“リヴァイアサン”がくれた」

GM : (知人)「あー、あの人かー。だいたい英語2語だよな」

FZ : 「いやいや、馬鹿にするな。“リヴァイアサン”は素晴らしいネーミングセンスの持ち主だ」

GM : (知人)「へえええ。となりの葉山の、お前のいまの上司は? あれも?」

FZ : 「いや、あれは自分で決めたらしい」

GM : (知人)「ええええ」

FZ : 「素晴らしいセンスだ。なかなかあれだけ端的に自分のことを表せる支部長はいない」

GM : (知人)「おお、やっとお前も皮肉とか言えるようになったか」

FZ : 「いや、尊敬している」

GM : (知人)「えええ!」

GM : じゃあ、また別の……高原のことを知っているらしい男が、「そうだな。彼は……」

高原 : (知人)「出オチだ」

FZ : 出オチ!?






GM : ばたばたしていると、あとりが到着して。

FZ : 「こっちだ、こっちだ」

あとり : 「はい」

FZ : 「ああ、ちょっとお前らは飲んでろ」みんなに言っておいて、汐の部屋の前まで連れて行く。

GM : ん。

FZ : 「連れてきたぞ」

GM(汐) : 「(何度もうなずく)」

あとり : じゃあ、窓に近づいて……

GM(汐) : 「(窓越しに隣の部屋をこつこつと指す)」

あとり : 「となり……?」



GM : 廊下がこうあって……突き当たりが汐の部屋で、廊下の両側にいくつか部屋があったよね。で、汐の部屋に一番近い部屋の片方。ミドルフェイズでフェイタルゾーンが来た時、ドアが少し開いていて、ガランとしていて、雑誌がいくつか散らばっていた部屋。

FZ : 「ああ。今なら鍵がかかっていないから入れるな」

あとり : 「誰かが……いた、んですか?」

FZ : 「そうらしい。対抗種の研究の関連施設だから、誰かカウンターレネゲイドの持ち主がいたんだろう」

あとり : そっとドアを開けて入ってみます。



GM : 広めの病室のようなそこは、今はただガランとした空間。奥の汐の部屋との間の壁には、嵌め殺しのガラスだけれども窓がひとつあって、これごしに話ができたのかなというつくり。他は家具も何も取っ払われて、丸裸の簡易ベッドが奥の隅に残っているだけ。そしてそこに、雑誌と……なんだろう。めがね、は置いていくものじゃないよね。

FZ : めがねケース。

高原 : めがね拭き。

GM : めがねから離れて!?

高原 : あとりがあげた文房具とか。

GM : あ、それかな。……散らばっている雑誌は、サ○デーとかジャ○プとかで、あっちゃこっちゃにとっ散らかっているんだけれども。袋とじにクイズがあって、それを解くために計算用紙に使った紙が挟まっている。それだけやたらと可愛い、ノートの切れ端。書き込まれた、どこかで見覚えのある金釘字。

あとり : 「……!」くるっとその場に背を向けて、部屋を後にして、

FZ : 「お、戻ってきた」

あとり : 「……ここの責任者は誰ですか」

FZ : 「責任者は……日本支部の職員だろう」

あとり : 「ここにいた人間を知っているのは」

FZ : 「守衛の馬伏がおそらく知っているな」

あとり : (汐の部屋の窓ガラスに両手をつけて)「隣にいたのは誰?」



GM(汐) : 「(こめかみに指をあてて考えてから)……“だれが、こまどり、ころしたの”」



FZ : 「コマドリ?」

あとり : 「こまどり、……じゃない」

GM(汐) : 「(うなずく)……“ころした、の”」



 イギリスの古いわらべ歌、駒鳥を“殺したの”はスズメ。

 スズメの仲間の小鳥の名を持つ、あとりと、そしてもうひとり……



あとり : 「……イスカ……?」



 汐が、自分もガラスに両手を当てて、

 かすれて消えそうなあとりの声に、力強くうなずき返した。



あとり : ……ぼろぼろぼろっ、と涙を流して、「……ありがとう」

GM(汐) : 「(おたおた)……(フェイタルゾーンを見る)」

FZ : 「いや、わ、私にはどうしてやることもできん」

GM : 下向いて携帯いじってる!?(笑)

FZ : いやもう、どうしていいのかぜんぜんわからない(笑)

GM : こら大人ーー!!(笑)

あとり : あのね、ダメオなのはよくわかった!(笑)

FZ : 「おああ、ええとええと……は、ハンカチ使うか?」

高原 : 社会人なら持ってるハンカチ。

FZ : 「まあ、あれだ……その、」

あとり : 「(はっと顔を上げる)まさか……駄目になっていなくなったわけじゃないですよね!?」

FZ : 「そのあたりは、記録があるんじゃないか?」

あとり : 「誰が知ってますか、その記録。どこにありますか」

FZ : 「ちょっと今どんちゃん騒ぎしているが、あの守衛室に……」

あとり : 「あそこにありますか」

FZ : 「何かしらあるだろう」

あとり : ハンカチで、1回涙をぐっと拭って。「――ありがとうございます」と返して、そっちへ駆けていきます。

GM : リノリウムの床を蹴って、たったったっと……もう服着てる?

あとり : あ、うん!

FZ : 着ないで隣の市まで自転車飛ばしてきてたら問題だよ!?

GM : よ、よかった(笑)






GM : ……では。あとりがひとりで泣きながら帰ってきたのを見て、守衛室でどんちゃん騒ぎしてた人たちが動揺する。「だ、大丈夫? 大丈夫!?」

高原 : (血の気の多い知人)「(椅子を蹴って立ち上がる)渡辺のヤツ……!」

GM : (知人)「大丈夫? 渡辺が何したの!?」

高原 : (血の気の多い知人)「女衆、見ていてやれ! 俺はあいつにお灸を据えてやらなきゃ気が済まねえ!」

GM : (知人)「よし、オーヴァードの知り合い呼ぶか!」

FZ : うわあ、フルボッコのニオイがする(笑)

あとり : 「すみません、すみません!」と言いながら入っていって、パソコンの上に置かれている食べ物をどけさせてもらって、

GM : (知人)「おう、わかったわかった、どけときな(手伝う)」

あとり : 手当たり次第で操作を始める。

GM : さすがに馬伏が来ます。「ど、どうした?」

あとり : 「……汐ちゃんの隣の部屋にいた人、」

GM(馬伏) : 「え? ああ、あー、3週間ちょい前にいた子かな?」

あとり : 「見せて……ください」

GM(馬伏) : 「(あとりの顔をじっと見る)……わかった。お兄さんに貸してみ」後ろからマウスを操作して、

FZ : (知人)「お兄さんだって(笑)」

GM(馬伏) : 「うるせえなー! えーっと……あ。しー、な?(あとりに向かって、ないしょ、のジェスチャー)」

あとり : 「(うなずく)」

GM : カチカチと操作して該当のファイルを開くと、日誌みたいな簡易なものだけれど、入所者の履歴が書かれているものがある。簡単なプロフィールと経過だけだけれど、間違いなくそこには『相浦 イスカ』の文字。

あとり : 「……!(モニターに顔を近づける)」

GM : 経過は1文ずつの簡潔なもの。

“○月×日、隔離の必要ありとして入所。第二隔離病室”
“○月×日、精密検査。懸念されていたほど重篤な状態ではない模様”
“○月×日、RG−XXXXの点滴。暇なので雑誌が読みたいとのこと”
“○月×日、血液検査。異常なし”
“○月×日、点滴。週刊誌を渡したら点滴中ずっと読んでいた”
“○月×日、今日は隣の病室の汐ちゃんと話をしていたようだ”


……そして3週間と2日前の日付で、

“3回目の血液検査。異常なし。午後、訓練施設に送還”。

FZ : すれ違い!

あとり : ……また、ぼろぼろと涙をこぼす。

GM : (知人)「ちょ……大丈夫!? 誰かハンカチ持ってない?」

高原 : (知人)「任せてくれ。ハンカチの龍と呼ばれたこの俺に」

GM : なんて!?

FZ : なんの役に立つんだお前!(笑)

GM : 他の人は、出前についてきたペーパータオルとかをわさわさ集めて「鼻かむか? 鼻かむか?」

高原 : (ハンカチの龍)「ナミダ……フケ……」

FZ : そんなキャラなの!?

あとり : 拭いても拭いても、涙は止まらず、

高原 : ハンカチの龍のハンカチも尽き果てる。

FZ : 早!!

GM : では、出会い頭にわけもわからず男どもに殴られたフェイタルゾーンが帰ってきます。

FZ : ブスったれた顔して戻ってきて(笑)「……何か見つかったか」

高原 : (血の気の多い知人)「(椅子を蹴って立ち上がる)来やがった!!」

FZ : その瞬間に何発か飛んできたゲンコツで殴られる音がする。

GM : くらうの!?

あとり : モニターを食い入るように見つめて、記録を何度も何度も読み返す。「……よかった」

GM : 後ろでフェイタルゾーンが殴られている騒ぎが、あとりにはどこか遠くに聞こえて……

FZ : ワタシ背景!?

GM : うん、やってあげて(笑)

FZ : OKOK(笑)じゃあ、こう、ボキャァッ!て。

あとり : 今すごいイイ音したよ!?

GM : (笑)……美しいので、涙を流すあとりの横顔をラストに、カメラを引きましょう。

FZ : あ、引くと、

あとり : ボキャァッ!が。

GM : ああダメだ、映る(笑)……では、あわててもう一度アップになって。……シナリオ“キュアレス”、これにて終了となります。……お疲れさまでした!

PL : 「おつかれー!」