◆ Ending 02 ◆  「すべての空の小鳥たち」


 Scene Player ―― “光芒一閃”相浦 あとり



GM : では、先に高原、あとりが支部に戻るシーンからいこう。支部では、アールラボの職員がみんな入り口に押しかけて君たちを待っています。着くなり謝られるやら怪我のことをあれこれ言われるやらして、……ふたりともけっこうダメージ多くてぼろくちゃだよね。地下の、少し大きめの診療室のような部屋に連れて行かれます。

高原 : 《リザレクト》任せにしすぎていると侵蝕率的によくなさそうだしな。私今から32点リザレクトしたらぴったり100%になる(笑)

GM : 診療台ふたつにそれぞれ座らされて、間のパーテーションを取っ払って、その間に研究者たちがぞろぞろいて、話をしたり手当てをしたり。



GM(研究者) : 「本当に、今回は……申し訳ありませんでした」

高原 : 「まあ、あの……謝るようなことは、というか、謝ってどうにかなるようなことは何もない! 正直言って!」

GM(研究者) : 「は、はい……そうですよね」

高原 : 「何もないし、私たちがあなた方をどうにか言って何とかなるようなものでもない」

GM(研究者) : 「それじゃ、支部長の言葉をお借りします」

高原 : 「何だ」

GM(研究者) : 「あれだけのデータで、あんなに浮き足立つなんて。プロフェッショナルの科学者のすることじゃありませんでした」

高原 : 「……ああ」

GM(研究者) : 「疑わなければ。疑うことを忘れたら、科学はただのカルトです」

高原 : 「まあ、霧谷もありうるとは言っていたレベルのものだったし」

GM(研究者) : 「うぅ。理論はほんとによくできてたんですよね」

高原 : 「治験というものを伴う以上、非常にデリケートな問題だ。だが、今回の件が本当に問題だったのは」

GM(研究者) : 「はいっ」

高原 : 「君達が浮き足立ったことや、急いだことは、……まあ、瑣末事だ」

GM(研究者) : 「え!?」

高原 : 「今回の問題の本当の根には。……ひとりの人間の悪意と隠蔽があった」

GM(研究者) : 「……(顔を見合わせ、うつむく)」

高原 : 「熱心にやっていてくれるかぎりでは、めったなことでは今回の問題の再現は起こらない」

GM(研究者) : 「……」



高原 : 「……宮永さんには、悪いことをした。第二第三のあの人を生まないためにどうしたらいいかというのは……どちらかというと、私たちの課題だ」

GM(研究者) : 「いえ、我々も、何と言うか……その、……あの、支部長の前でこれを言うのは申し訳ないんですけれども」

高原 : 「(先を促す)」

GM(研究者) : 「あの、……3年前の。あれがあったんで、どうも、宮永さんがやりたいんなら、とか、宮永さんがそう言うなら、とか、気が済むまでやらせてあげよう、っていう感じで。時間や備品を融通するまではよかったんですけど、やってることに関して突っこんで聞いたりも、そういえば……してなかったんですよね」

高原 : 「……」

GM(研究者) : 「本当に大丈夫なのかとか、それよりも。宮永さんがついにやった! って興奮して、どうあっても認められないと、って、感情的に……」

高原 : 「加害者を作る優しさは、あまり、優しさではないな」

GM(研究者) : 「……はい。その通りです」

高原 : 「といって、私が宮永さんとちゃんとコミュニケートを取れていたかというと、それも疑問だから、五十歩百歩ではあるんだ」

GM(研究者) : 「……。オーヴァードの人にとってのカウンセリングの手法とか、そういうだけじゃなくて、俺たちも、……“ロイス”ですか。それ……ちょっとは意識したほうが、いいのかもしれませんね」

高原 : 「これを機に、結束を強くしようとか。そういう契機と、思おう。それと」

GM(研究者) : 「はい」

高原 : 「みんなうすうす分かっているとは思うが、……宮永さんには、休んで頂く。実質的にほとんど辞めて頂くような形になると思う」

GM(研究者) : 「……はい」

高原 : 「ただ、……彼の、科学や医学へのあれだけの知識量や技術の、そこには多分、裏切れない誠意みたいなものはあったはずだ。それが今も、研究成果、あるいは資料、遺産として、この研究所に残っているはずだ。そういったものを、闇には葬りたくない」

GM(研究者) : 「そこは、……はい。取捨選択しつつ、」

高原 : 「使っていってくれ」

GM(研究者) : 「はい」



高原 : 「で、今回の処罰についてだが!」

GM(研究者) : 「は、はいっ!」

高原 : 「気づかなかった人間……というか、コミュニケートを取らなかった人間両成敗ということで。アールラボの人間全員。それと、私。の、減給だ」

GM(研究者) : 「は、え、しぶちょ……」

高原 : 「減給して、お金が浮くから、それを研究の予算に充てる」

GM(研究者) : 「えっ」

高原 : 「(うなずく)」

GM(研究者) : 「……は、い。それじゃ、それで残った資料の収集なり、研究の引き継ぎなり、」

高原 : 「うん。合同カンパみたいな形に結局なると思うが、そのへんは大雑把にやる」

GM(研究者) : 「はい! ……それで、何かあったら、これからは、もっと支部長にちゃんと報告をあげるようにします」

高原 : 「専門的なことはよく分からないから」

GM(研究者) : 「はい。だから、『こいつがちょっと最近おかしい』とか、『支部長こいつにちょっと言ってやってくださいよ』とか、そういう」

高原 : 「あの、あのな、『あいつがすごくいい奴なんですよ』とか、『あいつはこういう所に気が利くんですよ』とか、そういうことも言ってもらわないと私の気が滅入るからな?(笑)」

GM(研究者) : 「あ、そ、そうですね!」

高原 : 「……教えてくれ」

GM(研究者) : 「はいっ」






GM : 支部長との話が一段落すると、彼らの何人かがあとりに目を留めて歩み寄ってくる。

あとり : 「?」

GM : 白衣を着た女医さんみたいな人がひとり傍に来て、

高原 : 男? 女?

GM : “みたい”ってそこじゃないよ!(笑) 医者じゃなくて研究者だからっていうこと!

高原 : あ、びっくりした(笑)






GM(研究者) : 「……ごめんなさい。結局また、オーヴァードのあとりちゃんたちにみんなやってもらってしまって、その後で、こんなことを言えた義理ではないんだけれど……」

あとり : 「(首をかしげる)」

GM(研究者) : 「あの……私たち、作業中とか、手を動かしながら、支部の人のことも色々しゃべったりはするんだけれどね。『あの人、無理するから、心配よね』っていう話題に出てくるの、1位は宮永さんだったけど、2位はあとりちゃんなのよ」

あとり : 「……(困る)」

GM(研究者) : 目の前にしゃがんで目線を合わせて、軽くあとりの両手を取って、「ほんっっとうに今、何ともない?」

あとり : 「無理は……きっと、支部長のほうが、よっぽど……してるんだと思います」

GM(研究者) : 「……」

あとり : 「支部長、ほらあの……外見タフだから、」

GM(研究者) : 「本当にタフよ?」

FZ、高原 : (笑)

あとり : 「いえ、あの……そう見えないだけで、きっと、……無理してる量なら、よっぽど、支部長のほうが多いはずです。肉体的にも精神的にも、すごく強い人だと思うから、だからその、……なんかちょっとおかしかったら、すぐに検査に引っぱって行くとかして、フォローしてあげてください」

GM(研究者) : 「……(微笑む)わかった」

あとり : 「(うなずく)」

高原 : 「何だ何だ、私の話か?」

GM(研究者) : 「といって、矛先がこっち(高原を指す)を向いても、あなたに向いてる矛先も消えてないからね?」

あとり : 「……失敗した……」(笑)

高原 : 受け流せなかった。増えた(笑)

GM(研究者) : 「じゃ、それはそれとして、検査しましょうね」

あとり : 「はい……」



GM : そして、あとり。何か悪いものが残っていないか検査を受けて、普段の健康管理や栄養管理にまで口を出されて、さんざんいじくりまわされた挙句、やっと服を返してもらって解放された時に……携帯にメールが入る。

高原 : ぶーん。ぶーん。(バイブレーション機能)

GM : というところで、フェイタルゾーンのシーンに繋ぐね。

あとり : はーい。