Scene Player ―― 会計:三好 死織
ユヤ : さあ、誰から行こうか。
龍之助 : 俺は、水波が動く4シーン目までに死織ちゃんと会えればと思ってる。
秘野森 : 僕は後でいい。
シオリ : じゃ、私いくね。ドラマシーン! ……3。
GM : 「学校のトイレ」。
シオリ : トイレ!? まずい。
GM : まずいの!?
シオリ : うん、あの、会長と話がしたかっ……
龍之助 : えっと、えっと、あ、間のとこ!
秘野森 : 出た所の、男子と女子の間のとこで!
シオリ : そっか! じゃ、トイレから出て来たところで鉢合わせて、にしようか。
秘野森 : 「おっと、……これは三好君」
シオリ : 「……」
秘野森 : 「調子はどうかな」
シオリ : 「……たぶん。……だいじょうぶ」
ユヤ : (ひそひそ)……え、あ、シオリちゃん会長の【秘密】まだ持ってない?
龍之助 : (こくこくこく)
シオリ : 「聞きたいことが……あったんです」
秘野森 : 「……。何かな」
シオリ : 「告白される方と告白する方、……どっちが……いい、ですか」
秘野森 : 「…… ……?」
秘野森 : 「……質問の意図がよく分からないが、……だが、あまり自分から告白をするというのは、……僕だけではなく、ほとんどの男子が得意ではないのではないかな」
シオリ : 「えっ!?」
秘野森 : 「?」
シオリ : 「そう、……いうのって。男の子からしてくれるものって思っ……てた、んですけど」
秘野森 : 「いや、その。恐らくは、する時は勇気を振り絞ってするんだ。だが、だからと言ってする方が『好き』『得意』というわけではあるまい」
シオリ : 「会長は、その……陸奥先輩が好き、だから、……どっちなのかな、って、思って」
秘野森 : 「……。……うむ。難しい。それは非常に難しい問題だ」
シオリ : 「……」
秘野森 : 「別に……その、告白をしたとかそういうわけではないし、だからといってその……一般に言う恋人同士のような何かをしたわけでも全くもって無い。別にそうしたいともそこまで思っていない」
シオリ : 「でも、どっちかが言わなきゃ、関係って変わらないじゃないですか」
龍之助 : ……(横を向いて床をばんばん)
ユヤ : どした?
龍之助 : ……(耳打ち)
シオリ : あっれ!?
秘野森 : む!?
ユヤ : 言ったつもりだったって(笑)
秘野森 : えっ。
全員 :……!(爆笑)
シオリ : 衝撃の告白(笑)
GM : この朴念仁!(笑)
秘野森 : 「……! あっ、その、守るとか言われた気はするが、それはその……!」
GM : すごいな、ちゃんとラブコメしてる(笑)
ユヤ : コメの方が全力で発動してるようです。
秘野森 : 「……まあ、……悪い気はしなかった、な」
シオリ : 「(ひとしきり笑って)……そっか。そういうのに……こだわってちゃ、駄目なのかな」
秘野森 : 「こだわる? こだわる……ふむ。それは、プロポーズの話か」
シオリ : 「…………まあ、そんな感じ」
秘野森 : 「ふむ」
シオリ : 「だって、(ふわっと頭を揺らして微かに笑う)……憧れなんですよ。女の子からしてみたら」
秘野森 : 「ほう」
シオリ : 「そりゃ、今は逆からも流行ってるみたい……だけど」
秘野森 : 「なるほど」
シオリ : 「憧れを取るか。勇気を、出すか。……ずっと、悩んでて」
秘野森 : 「……」
シオリ : 「でも、……毎回毎回毎回毎回! ……ぜんぜんっ、……してくれないし」
秘野森 : 「察するにそれは何か、……恐らくは水波君とだと思うが、かねてからの約束のようなものだったのか」
シオリ : 「……(こくり)」
秘野森 : 「……なるほど」
秘野森 : 「……三好君。気づいてはいるだろう」
シオリ : 「……」
秘野森 : 「今日は9月30日の――4回目だ」
シオリ : 「……分からないですよ。もっとかもしれません。私たちが気づいていないだけで」
秘野森 : 「……。あるいはそうかもしれん。そしてだ、……もし僕が、その原因を何とかしようとしている――と言ったら。君は協力をしてくれるか」
長い沈黙。
「原因を」「何とかする」……その言葉が意味する事柄は。
シオリ : 「……何とかしたい、と思ってます」
秘野森 : 「……」
シオリ : 「でも、……わからないです」
秘野森 : 「もしかしたら協力は出来ないかもしれない」
シオリ : 「……」
秘野森 : 「この時間が永遠に続くことを、良しとするかもしれない」
シオリ : 「まだ、私の中で決着がついていないから」
秘野森 : 「――そうか」
シオリ : 「ごめんなさい」
秘野森 : 「いや。……構わない」
シオリ : 「でも、終わらせなきゃいけないって思ってもいるんです」
秘野森 : 「そうだな。あるいは君の決断が、それを終わらせる手伝いになってくれるのかもしれない」
シオリ : 「……どう、なんでしょうか」
秘野森 : 「僕は、そこに期待をするとしよう。僕はただの、……少し他の人とは違うかもしれないが、あくまでただの高校生だ。生徒会長としてのことならば、決断はできる。だが今回の異変はそれを大いに逸脱している。
シオリ : 「でも、学校のことです」
秘野森 : 「そう。学校のことだ。だが……恐らく、君がまだ知らないこと、だが僕が知っていること……それが山とあって、それを今ここで伝えるべきかどうか……結論を出せずにいるんだ」
シオリ : 「……」
シオリ : 「……私と、会長が、結論を出せば。……進むんですかね」
秘野森 : 「分からん。……陸奥君がどう考えているのかも、分からん」
シオリ : 「……?」
秘野森 : 「僕が君に伝えておかなくてはならないことはただ一つ」
シオリ : (顔を上げる)
秘野森 : 「――僕は、『月読』を、排除する」
シオリ : 「――……」
秘野森 : 「……だから、それまでに君には決着をつけてほしい」
シオリ : 「……『月読』が一体何なのか、私には……分からない。でも、この状況を終わらせたいのは確かなんです」
秘野森 : 「……」
シオリ : 「だって。……あの約束に縛られて、私は何も出来ない。何も、進まない」
秘野森 : 「想いは確認できたはずだ。この文化祭前日という特別な時を通じて」
シオリ : 「(唇を尖らせて)そうですよ」
秘野森 : 「それは大きな前進だ。大きな一歩だ」
シオリ : 「だからっ。最後は、私がこだわってるだけなんですってばっ」
すねたようにそっぽを向く死織の表情は、年相応の少女のもの。
微笑ましく見守る秘野森は、それでも言わなければならない。
秘野森 : 「こだわるのは、構わない。だが、……時間は無限ではない」
シオリ : 「……」
秘野森 : 「だから、……『伝えられなくなる』前に、伝えてくれ」
シオリ : 「進む、前に」
秘野森 : 「そうだ」
シオリ : 「……」
秘野森 : 「……一つ、話をしよう。僕は今、すごく眠い」
シオリ : 「ねむ……?」
秘野森 : 「そうだ。3日前、2日前、昨日。日々、日中眠くて仕方がない」
シオリ : 「会長、冗談やめてくださいます」
秘野森 : 「冗談ではないよ」
シオリ : 「じゃあ、何なんですか」
秘野森 : 「その答えは、陸奥君や天波君が知っている。彼らとも話をしてくれ」
シオリ : 「……。わかり、ました」
秘野森 : 「衣装の調達は頼むよ」
シオリ : 「毎回毎回、しっかりやってるじゃないですか」
秘野森 : 「(笑う)……助かっている」
GM : では判定はっ。
シオリ : 感情判定!《仕込み》で……成功!
秘野森 : なにがでるかな。「共感」
シオリ : 「共感」
龍之助 : いいね、シーンに合ってる。
シオリ : そして【補給】! てやー! 成功! よかったです!