ルーラーシーン
Scene Card ―― エトランゼ(正位置)
「ホトケさん持ってきたぜ。こいつの代わりに明日にはアンタがあの企業に入りこめるって寸法だ」
「ああ。落ち着き次第、うちの社に情報を流し始めよう」
「さすが御社さん、やり方がえぐいこって。
しかし、こんなモンわざわざ直に見たがるかね。映像資料はあっただろ?」
「いや。助かる。映像資料と、直に目にして触るのとでは、再現のしやすさが違う」
「そんなもんかい。役者だねえ」
「……その言い方は、やめてくれ」
「あん? まあ、何でもいい。こいつとCMEのエージェントとの接触予定は夜明けだそうだ。しっかり準備しといてくれよ。場所は――」
その時、何かに気づいた彼らはふたり同時に振り返る。
「「――誰だ!!」」
闇に鋭い4つの目が光る。
ひっ、と細い悲鳴を上げて、このシーンの視界の主は走り去った。
トーキョーN◎VAの片隅。
災厄の街の夜、ある路地裏の暗闇に、ふたりの男の姿があった。
ひとりは長身のレッガー◎。ひとりは痩せたカゲ◎。
レッガーらしき男のほうは、黒い袋を引きずっている。