◆ オープニング・シーン02 ◆ 「ヒロインはどこにいる」


 Scene Player ―― "打ち上げ花火" 伊達 康介

 Scene Card ―― バサラ(正位置)



零細映画会社アクセルピクチャーズの社屋内。

CME映画部門から千載一遇のチャンスを貰った彼らだが、

監督、プロデューサー、主演男優の3者3様に、製作作業は難航していた。


RL:まず監督からなんですが、お部屋はどんな感じですか?

伊達監督:壁一面にいろんな映画のポスター、棚一面にいろんな映画のフィギュア、別の棚に映画のいろんな媒体の山。

RL:ふつうに映画オタクの部屋だこれ!!

永倉P:仕事する場所ある!?w

伊達監督:さ、作業机! 作業机!


机の灰皿は吸い殻で山盛り。コーヒーを片手に唸りつつ、監督は久しぶりに脚本を書いている。

プロットを書きつけたホワイトボードと睨めっこしながら、今どきペンを持ち紙に向かって。

何十回目かに唸った頃、業界の知人が心配して電話を掛けてきた。


RL:「進捗どうなの?」

伊達監督:「あー…… 苦しいわ、窒息しそう」

RL:「苦しいかあ。撮影どこまで行ったの」

伊達監督:「あ〜、撮影…… 撮影ね」

RL:「え、まさか!?」

伊達監督:「ま、まあ、そのうち始められるって!」

RL:「間に合うの!? ああ、もしかしてあれ? ヒロインの役者決まってないっていう」

伊達監督:「そうなんだよねえ。どっかに可憐でこう、俺のイメージにぴったりくるような女の子転がってないもんかなあ」

RL:「転がってたら事案だよ! もういいじゃない、なんか適当な若い子使ってさあ、CGとアフレコで何とかすれば。何となりゃ今どきAIだって」

伊達監督:「それじゃダメなんだよ! 別にAIもCGも否定するわけじゃないが、ほら、それがテーマの映画だったら構わねえが」

RL:「うんうん」

伊達監督:「今回は血の通った人間がどうしても…… いや、AIがテーマの映画っての面白いな……」

RL:「こらこらこら行き詰まってる時に別のアイデアが出るのはすっげえ分かるけど!」

永倉P:わかりやすい現実逃避!w

RL:「しかし、いるかねえ今どきそんな子」

伊達監督:「そう。オレが13年前、結城あやを見た時に、こいつだ! って思ったような、あんな」

RL:「ハードル高っ!?」

瀬戸ハヤテ:すっご(笑)

RL:「ああ…… まあ、万が一にも見つけたら、どんな手使っても逃すなよ」

伊達監督:「ああ」

RL:「っと、すまん、オレも仕事だ、またな。がんばれな」

伊達監督

伊達監督
(Picrew「小首を傾げるメンズ」まと様)
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