Scene Player ―― 瀬戸 ハヤテ
Scene Card ―― カブトワリ(逆位置)
瀬戸ハヤテ:彼女にとっての現実に決着をつけなくちゃいけない。それは、巻きこんでしまった我々の責任だ。
RL:えらい。
RL:プロデューサーが話しているのと同じ頃。少し離れた場所で、エルシーがおずおずとハヤテに近づく。
エルシー:「ハリーさん、……お怪我、大丈夫ですか」
瀬戸(ハリー):『この通り、ピンピンしてる』
永倉P:あんだけ殴られてひとつもダメージチャート行ってねえ。
RL:ほんとだ!?
エルシー:「本当に、……ありがとうございました。夜の間、ずっと」
瀬戸(ハリー):『……ずいぶんと酷いことに巻きこんでしまったな』
エルシー:「あなたがいたから、わたしも、この通りピンピンしてます」
ふたりは小さく笑い合う。
エルシー:「扉を開けてくれた時のことが、もう、ずっと昔のことみたい」
瀬戸(ハリー):『まさにこれから寝ようと思ってる頃だったからな。正直少し驚きはした』
エルシー:「ふふ」
瀬戸(ハリー):『だが、俺の事務所を訪ねて来てくれてよかった』
エルシー:「私のほう、こそ」あの写真を取り出して。「父さんはこの写真を残してくれたけど、……映画みたいなすてきなヒーローが、この街にまだいるなんて、本当は、ずっと信じられてなかったんです。だから、……会えてよかった、あなたに」
瀬戸(ハリー):『この街には、まあ屑も多いが。同じくらい、ヒーローも多いのさ』
エルシー:「はい。覚えておきます」
瀬戸ハヤテ:頭の中では(これ絶対言っちゃいけないセリフ……!)って思いながら、
瀬戸(ハリー):『また何かあったら、あの扉を叩くといい。俺はいつでもそこにいる』
エルシー:「――はい。……はい……!」
伊達監督:15個のカメラで撮りながら「いい追加シーンが撮れてる……! やっぱりエンディングはこっちだな!」
永倉P:お前!!w
エルシー:「いつか、勇気が出たらまたきっと。……ありがとうございました」そう言って彼女は去ってゆきます。
瀬戸ハヤテ:見送りながら(どうしよう、言っちゃった……)周囲をきょろきょろ見回すけど、ふたりともやること一杯だから、「はぁー……」と溜息ついてます。……で、ジョシュを見つけて。
瀬戸ハヤテ:「ジョシュさん」
ジョシュ:「なんだ」
瀬戸ハヤテ:「あなたならどうしてました?」
ジョシュ:「俺だったら、じゃないだろう。お前がやったのは」
瀬戸ハヤテ:「あの子が写真の住所を間違えなくて、あなたがそこにもしまだいたら、俺の役はあなたがやっていたんですよ」
ジョシュ:「そんな『もしも』はどこにもない」
瀬戸ハヤテ:「でも」
ジョシュ:「だとしたら、お前は俺以上に大した代役の役者だ」
瀬戸ハヤテ:「そう、……役者だから、『もしも』は、得意でしょう」
ジョシュ:「……、(静かに笑う)」
瀬戸ハヤテ:「俺は、あなたのことを知ってしまってから、あなたの居場所を取ってしまったことが申し訳なくて」
ジョシュ:「死んだ男に居場所はいらない」
瀬戸ハヤテ:「死んでたらそれでもよかったんですけど、あなたはここに生きているから」
ジョシュ:「それなら、もっと気にしなくていい。俺の人生はさっき、どうも3度めに突入したようだからな」
伊達・永倉:(笑)
瀬戸ハヤテ:「永倉さん凄いなほんと」
ジョシュ:「あの二人はずっとああなのか」
瀬戸ハヤテ:「ああですね。権力得た分たちが悪くなったかも。昔はもっと若さで無茶するだけだった」
ジョシュ:「昔? お前、ずいぶん若い見た目をしてるが」
瀬戸ハヤテ:「ああ、……いえ。そういう話を聞いたことがあって。それこそ、代表作の映画を撮る前の話」
ジョシュ:「聞かせてくれ。監督と会社のクセは知っていたほうがいい」
瀬戸ハヤテ:「大体さっき見たまんまですけどね」ぼそぼそ話し始めます。監督たちの若い頃からのこと。愚痴みたいだけれど、どこか楽しそうに。
RLからエンディングの希望を訊ねられたハヤテは、エルシーとのシーンを選択。