GM : では、そんな支部のメンバーへのハンドアウトです。当て書きなので、前半は各プレイヤーさんから聞いた設定、後半に今回のシナリオでの事柄が書いてあります。前半が主に他のプレイヤーさん向けの情報、後半はそのプレイヤーさん向けの情報ってことになるかな。なので、PC1から自分のを順番に読み上げていってください。

あとり : はい。

▼PC1 : “光芒一閃” 相浦 あとり


 シナリオロイス:“人魚の鉄姫”内海 鞠(“メタルマーメイド”うつみ まり)

 推奨感情:P親近感or連帯感/N不安



 君は前途を嘱望されている優秀なUGチルドレンだ。エフェクトの扱いにも長け、他者を鼓舞する特異なレネゲイド特性を持ち、任務の達成率も上々。将来はいずれかの支部の支部長として人を率いることになろうと、今から誉めそやす教官もいる。

 だが、君の優等生ぶりの裏には、誰にも言えない不安があった。
 被検体という立場でUGNに保護されている弟。自分が問題を起こして、その迷惑が、彼の待遇に及んでしまったら。……勿論、人質というわけではない。脅迫されたことがあるわけでもない。だが君は、自ら抱えたその弱みを拭い去ることができないでいる。

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 内海 鞠とは6、7年前に訓練施設で出会った。彼女は君と少し似た境遇を持っていた。妹がやはり被検体のような立場でUGNの世話になっているのだという。それが理由というわけではないが、話題のきっかけにはなって、当時彼女とはそこそこ親しくなった記憶がある。
 平凡への憧れを強く持っていた鞠は、もし普通の子になれたら、何がしたい?そんな、他の仲間には言いづらい問いかけを君にしたこともあった。
 新しく配属された支部で、君は鞠と再会した。様々な支部を飛び回る君たちに、そういう機会は多くない。彼女はとても喜んだ。
 共に任務に当たる毎日。その中で、彼女が君に、ふと、昔と似た質問を口にした。



高原 : その鞠ちゃんというのが、葉山市支部の『もうひとりのオーヴァード』?

GM : です。あとりと同い年。そちらはもう1〜2年くらい葉山市支部で働いています。

FZ : あとりは?

あとり : 2週間くらい。

GM : うん。

高原 : 衝動は?

GM : 飢餓。

高原 : 普通に?

GM : ?

高原 : なんかいつももぐもぐ食べててちょっとぽっちゃり系とかそういうのではなくて。

GM : (笑)。それはそれで可愛いけど、普通にもっと非日常系の。



 フェイタルゾーンの金魚ぶちまけといい、衝動に関して微妙な誤解があるような。



GM : UGNには従順な大人しい感じのチルドレンです。ただ、平凡への憧れがやや強すぎる傾向があって、学校への潜入任務の時に学校行事に力を入れすぎたり、転校前後にふさぎ込みがちになったりするのが欠点。休みがもらえると小旅行に出ちゃったりも。

高原 : ふん、ふん。シンドロームは分かる?

GM : モルフェウス/オルクスのクロスブリード。モルフェウスとしては、金属を操る能力に長けています。


▼PC2 : “フェイタル・ゾーン” 渡辺 三郎


 シナリオロイス:“塔の上の姫君”内海 汐(“ラパンゼル”うつみ しお)

 推奨感情:P庇護or幸福感/N憐憫



 君は長年にわたってUGNに勤めているエージェントだ。しかも、長期にわたって非オーヴァードのエージェントとして働き、最近になってオーヴァードとして覚醒したという、やや珍しい経歴を持っている。各地の支部で同僚として共に働いた、様々な立場の多くのエージェントたち。彼らとの地味ながらも深い絆に裏打ちされたコネクションは、有能なオーヴァードとなったことで危険な任務に次々と投入されることになった君を今、陰日向になって支えてくれている。

 だがそれは同時に君に、様々なしがらみ、義理人情に振り回される状況をもたらしてもいる。

 今日がいい例だった。君は休日だったはずなのに、古い友人に頼み込まれて、UGNの小さな施設の留守番を代わってやることになってしまった。

 そこで出会ったのが、彼女だった。




GM : この「古い友人」に、君の初期ロイスの馬伏さんを使わせてもらうね。

FZ : おう。使え使え。

高原 : ロイスの子、コードネームある。

GM : うん。UGNチルドレン。こっちは、詳細はセッション中に分かる形で。

FZ : 内海汐。内海。……お? あとりのハンドアウトの子と身内?

GM : はい。あっちにあった、内海 鞠の『妹』というのが、その内海 汐です。フェイタルゾーンとはまだ出会っていないから、感情の確定は会ってからでもいいよ。

FZ : 庇護or幸福感。了解了解。



▼PC3 : “コンバット・シブチョー” 高原 村雨


 シナリオロイス:宮永 洋平

 推奨感情:P誠意/N悔悟



 君はUGN支部長であり、同時に支部の戦闘部隊の先陣を切る戦士でもある。打ち砕かねばならないジャームには、他の誰でもない君自身の拳を打ち込んできた。たとえそれがジャームとなる前に、誰のどんな存在であったとしても。

 その日も君は、任務の途中で、知っていた。それが研究班に属する君の部下である「彼」の妻と、遅くに生まれた彼の愛娘で「あった」ということを。だが止まることはできなかった。その2体のジャームは完全に人の心を失っていた。そして非常に手強かった。君の拳をもってしなくては、相当数の市民の殺戮を避けることができなかった。

 彼は深いショックを受けていた。だが、君を責めることはしなかった。仕方のないことだったと、辛い役目をさせてしまったと、君を慰めようとしさえしてくれた。そして、その日に誓ったとおり、レネゲイドの治療のために真摯に研究を続け、UGNに尽くしてきてくれた。

 そして、その努力が実る日が来た。彼は顔を輝かせ、真っ先に君に報告しようとやってきた。




FZ : おも……重!!

GM : 長年みずから拳を振るっている支部長、っていうことだから、こういうこともあるかと思って。

高原 : あるだろうねえ。

FZ : なんで嬉しそうなんだよ!!(笑)

あとり : このM。このドM。(笑)

高原 : この事件はいつ頃? この……宮永さんの妻と娘のジャーム化事件、は。

GM : そう……だな、3年くらい前にしようか。

高原 : 3年。3年、真摯に研究に打ち込んできてくれてるわけか。……うおおお。

GM : では。そんな支部長と先輩のいる葉山市支部に、PC1のあとりがやってきて2週間。シナリオ『キュアレス』、幕を開きます。