◆ Opening 01 ◆  「おむすびころりん」


 Scene Player ―― “光芒一閃”相浦 あとり



GM : オープニング、最初はあとりのシーンです。侵蝕率お願い。

あとり : (ダイスを振る)……9。

高原 : 9!?

あとり : 9。

GM : だいじょうぶ!? ……や、状況的にちょうどいいのかな? 任務を一つ終えた直後から場面が始まります。






GM : 場所は葉山市のショッピングモール。内海 鞠と2人でジャームを追ってきて、このあたりで戦闘になって、倒した後。鞠は席を外しています。ワーディングに巻き込まれてしまってお母さんとはぐれた小さい子を誘導しに行ってます。

FZ : おお、いいこだ。

GM : でも、あとりがひとりで報告や引き継ぎの連絡をせにゃならん。

あとり : (携帯電話を耳にあてながら)《天使の絵の具》で、周りの壊れた物とかを一時的に隠蔽します。

GM : おー。イージーエフェクト出番だ!

あとり : ジャームの遺体とか。

高原 : パンダ。

FZ : パンダ!?

GM : ……じゃあ直立したパンダのようなジャームが

あとり : それ拾うんだ!?

GM : 屋根のあるショッピングモールから、脇道がいくつか左右に出てるのね。その一本に逸れてすぐの所に工事現場。建物の工事してる所によくある、金属の板みたいな仮囲いがされていて、遺体はその中にしようか。




あとり : じゃあ、囲いの破れた穴が分からないように隠す感じで。



とりあえず見た目をごまかして、支部のエージェントと連絡を取るあとり。任務の完了を報告し、このジャームの発生に関わる他の組織の動きがないかを調査することを確認、清掃班への依頼を終えて電話を切る。


GM : するとちょうどそのタイミングで、そばにあった仮囲いの金属壁の一部に、人間の顔のレリーフみたいなものがにゅっと浮かび上がります。

FZ : 怖!?

GM(鞠) : 「あとりちゃん、ただいま」

あとり : (携帯を畳みながら、微笑んで)「おかえり」

GM : それを聞くと、顔以外のところも壁から浮かび上がってきて、足を一歩踏み出します。そうすると、壁と同じ色だった身体がすうっと人間の色に戻る。



“人魚の鉄姫(メタルマーメイド)”の能力演出。オルクスのイージーエフェクト《猫の道》に、金属を操ることに長けたモルフェウスというイメージをあわせて、「金属の中を泳ぐように移動する」というビジュアルに。


GM(鞠) : 「ごめんね、報告とかもう終わっちゃった?」

あとり : 「大丈夫。清掃班の人も来てくれるって」

GM(鞠) : 「ありがと、あとりちゃん……。こっちも無事にお母さん見つかったよ」

あとり : 「よかった。警察に預けなきゃいけないかと思った」

GM(鞠) : 「うんうん、わたしも」

あとり : 「小さいから、それ、心細いもんね」

GM(鞠) : 「名札つけててくれてね。あっちの通りで、お母さんが、たけしー、って呼びながら探してくれてたから、誘導してきた」

あとり : 「おつかれさま」

GM(鞠) : 「あとりちゃんも。……あ、そうそう、あの子が何か、ぎゅーって抱えてたもの、あったでしょ。あれね、お面だったみたい。幼稚園で作って、お遊戯会用なのかな、手作りの。ねずみの」

あとり : 「ねずみ?」

GM(鞠) : 「うん。それでね、ね、べそかいて走ってって、まっさきにお母さんにそれ見せて『おむすび〜』って、」

あとり : 「?」

GM(鞠) : 「ほら、あれ。『おむすび、ころりん、すっとんとん』の。幼稚園とかでよく……」

あとり : 「あ……ごめん、私」

GM(鞠) : 「……あ」



 あとりは3つの頃にUGNに保護されて以来のチルドレン。お遊戯会の記憶が、あるはずもない。

 UGNに来るのが遅かったらしい鞠が、申し訳なさそうにあとりに謝る。あとり、首を振る。


GM(鞠) : 「……そ、だっ。ね、あとりちゃん。学園祭、がんばろ!」

あとり : 「え?」

GM(鞠) : 「え、……え? もしかして、来月までにもう異動!?」

あとり : 「ううん、……学園祭あるの?」

GM(鞠) : 「(こくこく頷く)」

あとり : 「来月?」

GM(鞠) : 「(こく)……そっか、先週ホームルームの時間なかったから……。あのね、今ね、クラス団体では何やるか話し合ってるんだよ。も、全然決まらないの」

あとり : 「(鞠につられて微笑みながら)……そっか」

GM(GM) : 「あとりちゃん、何やりたい?」

あとり : 「……(うつむく)んん……」

GM(鞠) : 「……。出ら……れ、そう?」

あとり : 「ん……、……今のところ」



 異動命令が下ればそれまで。
 自分の学園祭、という実感が持てようはずもないあとりは答えられない。


GM(鞠) : 「じゃあ、じゃあさ。あとりちゃん、(頭を切り替えて、とジェスチャー)たとえば、たとえばね。異動とか全然気にしなくてよくて、あとりちゃんは普通の子で、絶対出られる! …としたら、……何やりたい?」

あとり : 「ふつうの?」

GM(鞠) : 「(こくこく)……お化け屋敷とか、食販とか、お芝居とか」

あとり : 「(考えて)……食販がいいかな」

GM(鞠) : 「食販!(手をぱちんと合わせる)喫茶店とか?」

あとり : 「うん」

GM(鞠) : 「そか! あとりちゃん、ぜったいウェイトレスさんやらされるよ。すごい可愛い服とか着せられちゃうかも」

あとり : 「それも、ほら……毎日だったら困るけど、一日だけなら」

GM(鞠) : 「特別の」

あとり : 「うん」



 平凡な毎日の中だからこその「特別」なお祭に参加する自分たちを想像して、少女ふたりは顔を見合わせて笑う。


GM : と、鞠の携帯が鳴ります。連絡というより、アラームみたい。取り出してアラームのメモを確認した鞠が、あ、とあわてた顔になる。

GM(鞠) : 「あ! ……そか、今日、汐の面会……」

あとり : 「あとはだいじょぶだよ、清掃班の人もそろそろ来てくれるし」

GM(鞠) : 「あー、うー……! ごめん、もう、今日、あとりちゃんにみんなやらせちゃってる!」

あとり : 「ううん、行ってあげて!」

GM : では、鞠はあなたに拝むようにお礼を言って、また金属の壁に潜って去ります。《猫の道》。ほぼ同時に、清掃班の人が到着します。

FZ : (清掃班の人)「うっす。お疲れ様です(ド低音)」

GM : 渋!?

あとり : では《天使の絵の具》を解除して、あとを任せて帰ります。