◆ Opening 04 ◆  「おうじさまとあまんじゃく」


 Scene Player ―― フェイタルゾーン



GM : シーン4。フェイタルゾーン。

高原 : きんぎょを。

FZ : きんぎょの出番はもう無いよ!(笑) ホァー!(侵蝕率を振る)……3。

GM : 落ち着いてるね。ではフェイタルゾーン、施設に着いて引き継ぎを受ける場面から始まります。



フェイタルゾーンが車で乗りつけたそこは、外からの見た目には閉鎖した個人経営の医院のような建物。
裏口から地下に降りると全く違う施設になっていた。

まず目の前には、マンションにあるようなオートロックの自動扉。
その手前のホール右手に、管理人さんや守衛さんがいるような部屋がある。
その中からこちらをのぞく窓があり、
馬伏が顔をのぞかせてフェイタルゾーンを迎えた。





FZ : 私がそこに入ればいいかな。

GM : うん、では馬伏が君を招き入れてお茶出して。

FZ : 「(お茶をすすって)いや、久しぶりだなあ」

GM(馬伏) : 「ほんとだよなあ。お前どうしてんの、今?」

FZ : 「うん、葉山市でエージェントをやっている」

GM(馬伏) : 「ふーん。何、回ってくる仕事とか多いの」

FZ : 「(胸をはる)私は優秀だからな」

GM(馬伏) : 「お〜」

FZ : 「あと支部長が潜入とか一切できないから私がする」

あとり : (笑)

GM(馬伏) : 「え、お前がすんの!?」

FZ : 「えっ」

GM(馬伏) : 「だいじょぶなの!?」

FZ : 「何が」

GM(馬伏) : 「そんなに人いないの!?」

FZ : 「えっ……」

高原 : あ、……そうか、『昔の』友人!(笑)

FZ : え、あ……あー! あ、そう!

GM(馬伏) : 「ええ!?」



 馬伏はフェイタルゾーンがオーヴァードとして覚醒したことを知らなかった。



GM(馬伏) : 「そうなの!?」

FZ : 「うん。いろいろあってオーヴァードになりました」

GM(馬伏) : 「そうなのか、うわ、まずいかな…」

FZ : 「え、あれ、非オーヴァードじゃないと私ここにいたらまずいとかそういう話?」

GM(馬伏) : 「うん。基本な、非オーヴァードで固めてるんだここ」

FZ : 「どうしよう」

GM(馬伏) : 「うー、……まあ、大丈夫だろ。開けなきゃいいから」

FZ : 「?」



馬伏は施設と入所者についての書類を渡し、
ここがUGNの対抗種(カウンターレネゲイド)の研究の関連施設だということ、
隔離の必要な対抗種発症者を預かれる設備があるが、
今はひとりしか入所者がいないことなどを説明する。


FZ : 「ひとりか」

GM(馬伏) : 「うん、ちょうど今な」

FZ : 「それはちょっと淋しそうだな」

GM(馬伏) : 「うん、ひとり、まだ出せないんだよ。その子さ、カウンターレネゲイドがだだ漏れなんだよね」

FZ : 「だだ漏れ!?」

GM(馬伏) : 「うん」

FZ : 「それは、その、なんだ……触ると死ぬ的な」

GM(馬伏) : 「もっと悪い」

FZ : 「え」

GM(馬伏) : 「オルクスの子なんだけどさ。ほら、オルクスの“因子”ってあるだろ、領域内に広がるやつ」

FZ : 「よく知ってる」

GM(馬伏) : 「そのばら撒いてる因子に、カウンターレネゲイドが乗るんだわ」

FZ : 「あー」

GM(馬伏) : 「だから、同じ空気吸うとオーヴァードの人はぎゃーってなるし、その子も痛い」

FZ : 「かわいそうな話だ…」

GM(馬伏) : 「だから、いちおう気密性の高い隔離病室みたいになってて」

FZ : 「窓越しに話とかは?」

GM(馬伏) : 「できるできる。で、その子の所にお医者さんとか、面会の人とかが来るから」

FZ : 「そいつらを通してやればいいんだな」

GM(馬伏) : 「うん」

FZ : 「よし分かった。それじゃ、頑張って運動会のビデオを撮ってくるといい」



 お父さんお母さんたちの撮影ベストポジション争いは熾烈だぞと脅かされ、馬伏はあわてて席を立つ。



FZ : 「こんど飲もうな」

GM(馬伏) : 「終わったらおごるよ」

FZ : 「そうか。助かる」

GM(馬伏) : 「じゃな!」



 フェイタルゾーン、馬伏を見送って守衛室に戻る。



FZ : 「……独りか」

GM : うん。

FZ : 「暇だ。……そうだ、見回りをすればいいんだ。ふふ、私が一番えらいような気分」

GM : 一時的に。

FZ : 淋しいなこれ(笑)「あー、あー。独り言でも言わなければやってられないなー!」

GM : (笑)

高原 : がらーん……。

FZ : カツーン。カツーン。「……響くなー! 足音が!」

あとり : どこかでガタン! て音がして

FZ : びくぅ! てなる(笑)「な、何が! 何がこの施設で起こっているんだ!」

GM : いや別に(笑)

FZ : 「し、少女のところに行ってみよう」

GM : そうするとね。前方に20メートルくらい廊下が続いていて、…床はリノリウム。少し薄暗い。両側にはいくつかドアがあるけれど、中は今は使われていないみたい。ガランとしていたり、逆に物置代わりにされてダンボールが積み上がっていたりする。






 一つだけ明るい部屋は、廊下の突き当たりにあった。



GM : それが彼女の専用の部屋らしい。他よりも随分広そうで、手前側はこんな感じになってる。




GM : ドアは他の部屋のと違って確かに気密性が高そう。部屋は中で左右に広がっていて、学校の教室くらいある。

FZ : まあ、それくらいじゃないとかわいそうだ。

GM : 洋服棚やおもちゃ箱、ベッド、本棚。特に本棚が多くて、壁際はほとんど本棚でビッシリ。

FZ : 暇つぶしは必要だよな。

GM : で、あなたがこちら側から歩いていって。ふと中を見ると、誰もいない。

FZ : 「うん!?」すわ事件かとガラスに貼り付く。ベタリ!

GM : すると、下から声がする。

FZ : 「む?」



GM(?) : 「“ありがとう ございます。 やっぱり あなたが、わたしを たすけてくだすった おうじさま ですね?”」



FZ : 「ほほう。……えっ!?」

GM : 二度見!?(笑)

FZ : うん(笑)貼りつき直して下を見る。

GM : ちょうどあなたの真下、手前の壁に背中をもたせて座って、絵本を読んでいたらしい小さい子がひとり。で、ベタリ! とひっついているあなたに、

FZ : うん、ベタリ!とひっつい ……ちょっと怖くないかこれ(笑)すっと離れて、「……そこにいたか」

GM : 女の子は立ち上がり、窓の向こうからこちらに向かい合います。

あとり : ガラスに脂の跡が。

FZ : 「あっ」…きゅきゅっと拭く(笑)

GM(?) : 「…“おうじさま ですか?”」

FZ : 「ええと、王子じゃあないんだ。残念ながら」

GM(?) : 「じゃない ですか」

FZ : 「うむ。わたしはフェイタル・ゾーン!」

GM(?) : 「…………?」

FZ : 「(咳払い)…UGNの、エージェントだ。有・能・な、エージェント」

GM(?) : 「……(戸惑う。)」

FZ : 「……あれ、もしかしてこれ喋ったらまずかったか? 何も考えずにこういうことベラベラ喋ってから私はいつも後悔するタイプなんだ」

GM(?) : 「……、(表情が緩む。くす、くす、と笑う)」



 フェイタルゾーンは改めて馬伏に渡された資料を漁る。



FZ : 「ふん、これを見るに君が“塔の上の姫君(ラパンゼル)”……うん、かっこいいな(気後れ)……う、内海(うつみ) 汐(しお)さん。内海汐さんだな?」

GM(汐) : 「(うなずく)」

FZ : 「よし。会うことができた。今日一日、馬伏の代わりに私がこの施設を預かった。ので、(胸をはる)挨拶しに来た」

GM(汐) : 「(こくこく)」

FZ : 「もっとぶっちゃけて言うと、暇なので何か会話をしよう」

GM(汐) : 「(きょとん)」

FZ : 「正直、9歳の女の子と長い時間話したことはあまり無くてな。どういうことを話していいのか見当もつかないので、君から話題を振ってくれると嬉しい。……それは大人としてどうなんだ私?」



 まったくもって。



GM : では女の子はしばらく顎に指をあてて考えてから、ドアの所に走っていきます。

GM(汐) : 「“とん、とん、とん”」

FZ : 「ん?」

GM(汐) : 「“あけとくれ”」

FZ : 「い… いえいえ、それはできません。私が死ぬ」

全員 : (笑)

GM(汐) : 「“うりこひめ、うりこひめ。ゆびの はいるだけ あけとくれ”」

FZ : 「う、…(眉を寄せて)うりこ姫ってどういう話だったか」

GM(汐) : 「“とん、とん、とん”」

FZ : 「う……うおおおお!」



 フェイタルゾーン、早々にテンパる。



FZ : 「じ、事態は予想外に切羽詰まっている! この扉を開けると私が死んであの子が痛い目に遭う!」

高原 : ドドドドドドド

FZ : 「い、……(ド低音)いえいえ それは かないませぬ」

GM : そうすると、汐が話を切り替えます。壁の下にしゃがんで、

GM(汐) : 「“だれだ だれだ?”」

FZ : おお!?「だ、だ、だ……誰だといわれれば(見得を切る)フェイタル・ゾーンだ!」

GM(汐) : 「……“うそだい、うそだい”」

FZ : 「おわあ! ……ほ、ほんとだい! ほんとだい!」

GM(汐) : 「“ふぇいたるぞーんの ては、もっと しろくて きれいだよ”」

FZ : あ、これはなんか聞いたことあるぞ! たしか、お白粉だか小麦粉だかを手につけて出すんだ。「そ…そうだよ、フェイタルゾーンの手だからこんな白くてきれ……私の手だぞ!? どういうことだ!?」

全員 : (笑)

GM(汐) : 「(ひとしきり笑って)“うそだい、うそだい”」

FZ : 「う、うそじゃないぞ!」

GM(汐) : 「“ふぇいたるぞーんの こえは、もっと たかくて やさしいよ”」

FZ : 「(間髪入れず裏声)フェイタルゾーンダヨー!」

全員 : (爆笑)

FZ : わ、私のアイデンティティはどうなってしまうのか!?

GM : ちょうどその高い声がしたときに、守衛室のほうからピンポーンとチャイムの音が聞こえてくる。

FZ : 「(裏声)ゴメン キャクダ!」

GM(汐) : 「“うそだい、うそだい”」

FZ : 「ほんとだい! ご、ごめんな! ごめんな!」

GM(汐) : 「(笑い転げている)」

FZ : 「ちょ、ちょっとごめ」

高原 : ピーン ポーン

FZ : 「うわああ!(駆け出す)」







GM : では。自動ドアの前には、鞠が立っています。

FZ : 守衛室の中からまわって小窓を開けて、「何だ、内海か」

GM(鞠) : 「あ、……れ? フェイタルゾーンさん?」

FZ : 「うむ。今日一日ここの責任を預かりましたフェイタルゾーンだ」

GM(鞠) : 「そうなんですか! えと…ありがとうございます、お世話になってます」

FZ : 「あーいや、ちょっと代わっただけなんだ」

GM(鞠) : 「(フェイタルゾーンを指さして)大丈夫…ですか?」

FZ : 「ああ、うん。特に体調に不具合はない」

GM(鞠) : 「あ、よかったです。…あの、今日は事前に許可を取っていなかったので、中に入るとき、担当の方にご一緒して頂かないといけなくて」

FZ : 「そうかそうか。そういう決まりになってるな。行こうか」

GM(鞠) : 「よろしくお願いします(ぺこり)」



 ふたり、廊下を歩き出す。



FZ : 「いや、わたしは今アイデンティティの崩壊の危機に晒されたところでな」

GM(鞠) : 「危……えっ?」

FZ : 「君が来てくれなければ私はフェイタルゾーンでありながらフェイタルゾーンでない何かになるところだった」

GM(鞠) : 「……え、ちょっとわからない」

全員 : (笑)

FZ : 「そうだろうとも。そうだろうとも!」

GM(鞠) : 「……??」

FZ : 「私はこう、手が白くて、声がカン高くて、うそだいうそだいと言われた」

GM(鞠) : 「……あ、……あー、(笑いながらうなずいて)狼さんにされちゃったんですね」

FZ : 「狼さん」

GM(鞠) : 「すみません。あの子、いつもあんな感じで」

FZ : 「いつもなのか。あー、あと、うりこ姫の対応を私はどうすればよかったんだ?」

GM(鞠) : 「どっちにされたんですか?」

FZ : 「戸を叩かれた」

GM(鞠) : 「叩くほうが、あまんじゃくですね」

FZ : 「では向こうがあまんじゃくだったんだな」

GM(鞠) : 「そうで……え、あ、それじゃ、“指の入るだけ開けとくれ”ってあの子言いました?」

FZ : 「言った言った」

GM(鞠) : 「あ、いけないんだ。すみません」

FZ : 「いやまあ、ムリムリムリって答えちゃったんだけども」

GM(鞠) : 「それでいいです、ありがとうございます」



 そうこうするうち汐の部屋の前へ。



FZ : 「(咳払い)汐ちゃん。ええと、内海……お? あれ。お姉さん?」

GM(鞠) : 「あ、……はい(微笑む)」

FZ : 「そうか。おーい、お姉さんが来たぞ」

GM : 汐は部屋の奥のほうで前転しています。

FZ : ぜ……?

GM(汐) : 「“どん……(前転)……ぶらこ。どんぶらっ……(前転)こ。どんぶらこ”……」

FZ : 「とんとん。(ガラスを叩く)」

GM(汐) : 「“どんっ……(前転)ぶらこ。どんぶらっ こ”……」

GM(鞠) : 「すみません。あの子、自分の世界に入っちゃうとなかなかそのカラ切り開きづらくて」

FZ : 「どうするといいんだ?」

GM(鞠) : 「汐ー、」

GM(汐) : 「どん……ぶら……(前転)」

FZ : うおお、これどうすればいいんだ!(笑)

GM(鞠) : 「すみません、もー! ……(息を吸い込んで)……“おや おや、おおきな 桃だこと”」

GM : と、汐がこちらを見ます。

FZ : 「おお、なるほど」

GM(汐) : 「(こちらに向き直って、再度前転して寄ってくる)どん、ぶらっ……こ……」

FZ : 拾えないぞあの桃!(笑)「どうすればいいんだ!」

GM : こちら側の壁にぶつかるとふらふらと立ち上がります。

GM(鞠) : 「汐ー、だめでしょう。フェイタルゾーンさん困らせちゃ」

FZ : 「う、うーん、いや、楽しかったからいい」

GM : 汐があなたのほうを嬉しそうに見て、勝ち誇ったように鞠を見る。

FZ : 「いや、そういうことじゃない。そういうことじゃないんだ」

GM(鞠) : 「ね、開けたらいたいいたいなんだから」

GM : 汐はそこそこ素直にうなずきます。

FZ : うむ、いい姉妹だ。

GM : あとは鞠が「この前ご本届けてもらったんだけど、来てる?」って聞いて、汐が棚から本を出してきて見せたりとか。

FZ : 微笑ましいが、やっぱりちょっとかわいそうだなあ……。

GM : 微妙な気分になっていると、守衛室から再度「ピンポーン」と音が。

FZ : 「何だ、今日は忙しいな!(ばたばた走り出す)」……今日は? いつもこの仕事してるみたいじゃないか。バタン!「はい!」



 今度そこに立っていたのは、スーツ姿の宮永だった。



GM(宮永) : 「こんにち……あれ?フェイタルゾーンさん」

FZ : 「ど、どうも」



 今日たまたま守衛の代役をしているだけだということを再度説明するフェイタルゾーン。



FZ : 「いやあ、馬伏が」

GM(宮永) : 「はい」

FZ : 「馬伏の息子さんが……」

GM(宮永) : 「な、何かあったんですか!」

FZ : 「運動会だっていうから」

GM(宮永) : 「え、あ、……はい?」

FZ : 「ビデオを撮らなきゃいけないから」

GM(宮永) : 「(笑って)それで代わってあげたんですか」

FZ : 「いや、まあ……そういうのは大事だから」

GM(宮永) : 「ええ、……ええ。そう、ですよね」



宮永は、自分が日本支部からの指令系統で任命されたこの施設の担当医のひとりであること、

今日は内海汐の採血と体調のチェックに来たのだということを告げる。



FZ : 「わかりました、行きましょう。ちょうど内海……お姉さんも来ている」

GM(宮永) : 「それは助かります」

FZ : 「注射が苦手とか、そういうのか?」

GM(宮永) : 「そうですね。気を散らしておいてもらえると、あまり痛くなく済むので」

FZ : 「私も協力して気を散らそう。気を散らすのは得意だ」

GM(宮永) : 「え?……お、お願いします(笑)」



 フェイタルゾーンは宮永を伴って汐の部屋の前に戻る。

 窓越しに本を読んでやっていた鞠が振り向いて立ち上がった。



GM(鞠) : 「あ、宮永先生。おつかれさまです」

FZ : 「採血と検診だそうだ」

GM(宮永) : 「じゃあ、一度ドアを開けますんで、おふたり少し下がっていてください」

FZ : 「おお。内海、私のゾーン内に来なさい。半径2.5m以内だ」

GM : では鞠はフェイタルゾーンの後ろに入ります。ドアは開いてすぐ閉まったけれど、フェイタルゾーン、一瞬のどが焼けるように痛む。

高原 : ジュッ。

FZ : 「いづっ。……(咳払い)んー。マーママー。マー!(裏声)」

GM(鞠) : 「マ?」

FZ : 「あ、いや、発声練習。大丈夫だ。しかし、……大変だなあ」

GM(鞠) : 「ご迷惑おかけします……(頭を下げる)」

FZ : 「いやいや、私はたかが半日程度ここにいるだけだ。迷惑ということはない」


GM : と、部屋の中から宮永の「こら、汐ちゃん」という声が聞こえる。

FZ : 「なにか、気を散らす必要とかあるんじゃないのか」(窓に近づく)

GM : 汐がパタパタと部屋の中を逃げ回っています。

FZ : 「(腕を組んで)子供ってこういうもんだよな(笑)」

GM : かなり本気ダッシュで逃げ回っていて、宮永はそろそろバテバテ。

高原 : 「ハン、どうした? 息が上がってきたみたいじゃないか」

あとり : 誰!?(笑)

GM : ぱたぱたぱた。

FZ : 「うむむ。……内海汐!」

GM : 君が呼ぶとこっちを向き、助けを求めるように走ってきます。

FZ : 走ってきた所ですごい変顔する。

GM(汐) : 「!!?」

あとり : ちょっと!?(笑)

GM(汐) : 「ひぅ、え、……ふええええ!!(泣)」

FZ : ああああ、泣かしてしまった! まずいまずい!

GM(汐) : 「ぇふああああ(マジ泣)」

FZ : 「へ、変顔したら泣かせてしまった! 私の変顔そんなに怖いか!」

高原 : いや……、(笑)

FZ : 「うー、あ、…あばばばば! あばばば!(裏声)ゥオーヒョイ!ウォーヒョイ!」

GM(汐) : 「!?」

FZ : 「ゴリラさんだよー! …ゴリラさんかこれ!?」

GM : (笑)

FZ : 私のアイデンティティは今日一日でどんなことになってしまうんだ!

GM : その間に宮永が、あなたのほうへ「どうも!」というジェスチャーをして、手早く注射を済ませます。

FZ : よしよし。

GM(汐) : 「(刺された瞬間、ひゅっと息を呑む)」

FZ : 「! ……ゴ、ゴリラ! ゴリラ!(ゴリラダンス)」

全員 : (笑)

GM : ではその間にすっかり他の処置も済みます。


GM(宮永) : 「ありがとうございます、助かりました」

FZ : 「いや、私も助かりました。早めに終えて頂かないと私のアイデンティティが粉々になる所でした」

GM(宮永) : 「はい!?」

FZ : 「いや、私が32年間で培ってきた人生がなにかゴリラという一つのものに全て平らげられるところだった」

GM(宮永) : 「えええ!?(笑)は、はい、どうも」

FZ : 「危ないところだった……(しみじみ)」



 診療と面会を終え、鞠、宮永は帰ることに。



FZ : 「また後で来るからな汐ちゃん」

GM(汐) : 「……“お針の”」

FZ : 「ん?」

GM(汐) : 「“お針の……刀で、ちくちく……”」

FZ : ああ、痛かったのか……。

GM(汐) : 「ちく……(半泣き)」

FZ : 「ちくちくは……うーん……しない!」

GM(汐) : 「?」

FZ : 「ゴリラはちくちくしない! ゴリラなら大丈夫!」

GM(汐) : 「(自分を指さす)」

FZ : 「(うなずく)ゴリラ。」

GM(汐) : 「!!?」

あとり : ええええ!(笑)

FZ : 「今から内海汐はゴリラになるんだ! ちくちくしないぞぉう!」

GM : ……汐はしばらくして納得したらしく、部屋の奥に駆けていきます。

GM(汐) : 「アイアイ。アイアイ」

FZ : 「いや、それはちがう」



 ふたりを送り出したあとは特に来客もなく、フェイタルゾーンは賑やかな一日を終えた。



FZ : 汐ちゃんへの感情を確定しよう。これは……推奨どおり「庇護/憐憫」だな。

GM : 了解。