◆ Middle 03 ◆  「やまとのおろち」


 Scene Player ―― “コンバット・シブチョー”高原 村雨



GM : 次はミドルフェイズ第3シーン。高原のシーンです。君なりの調べ物なり連絡なりをする場面。

高原 : えーと……霧谷と直接会いたいんだけれど、それは無理かな?

GM : お〜。いいんじゃないかな。ちょっとBGM変えるね。

高原 : ダーダン! ダカダダン!(自前)

FZ : ジャンジャン! ジャジャン!(同調)

高原 : ジャカジャジャン!(緊迫)

FZ : 《止まらずの舌》のニオイ。

あとり : 「とりあえず全部喋れ」(笑)

高原 : 「くっ、この距離であれば!」

FZ : 今まさに高原の拳が……!



 リセット。



高原 : 日本支部って場所の指定あったっけ。

FZ : 動いてんじゃないの?

あとり : 日本の地下を。

FZ : 龍脈に沿って。

GM : 龍脈に沿って!?

高原 : 東京付近にあると考えて、電車か何かでこっちが行くというのでいいかな。

GM : OK。



 高原は日本支部に直接出向くことに。



GM : それでは、応接室か何かに通されて。

高原 : 好き勝手描写していいの?

GM : え、いや、まあ、応接室くらいならいいんじゃないかな。部屋の中には……

高原 : 熊の毛皮。

GM : え。

高原 : 何故か角が生えている。

FZ : ジャームじゃねえのか(笑)

高原 : 翼も生えている。

GM : ジャームじゃん!

高原 : 「いや、これは《完全獣化》したヒトなんです」

GM : そんな怖い人じゃないでしょう!?

高原 : なぜ飾る……



 霧谷さん、すみません。



GM : では、あなたが応接室でお茶を出してもらってて……多忙な日本支部長は10分ほど遅れて現れる。

GM(霧谷) : 「お待たせしました」

高原 : 「(立ち上がって頭を下げる)お時間を割いて頂いて」

GM(霧谷) : 「いえ、お疲れさまです」あなたの向かい側に座ります。

高原 : 「さっそく本題に入らせて頂きますと……」

GM(霧谷) : 「ええ」

高原 : 「(顔を寄せて囁き声で)実は、うちの……」

GM(霧谷) : 「ああ、大丈夫ですよ。この部屋のセキュリティはそこそこに高くしてあります」

高原 : 「あ、そうですか! 実はですねー、うちの支部でレネゲイドの治療薬ができたんですよ!」

GM(霧谷) : 「ええ!?」

FZ : 軽!!

あとり : さらっと言ったな今!(笑)

GM(霧谷) : 「……あの、私こんな反応するキャラじゃないですよね」(笑)

高原 : 片方の眉をぴくりと上げて。

GM : それにする(笑)「それは……どういった?」

高原 : 「研究チームが開発を進めているもので、実験結果をあげて来ました。マウスでは成功しているようです」

GM(霧谷) : 「動物実験の段階までは進んでいるということですね?」

高原 : 「はい」

GM(霧谷) : 「結果は?」

高原 : 「こちらに目を通して頂くのが、ソラリスのあなたには一番早いかと思います」



 高原は、研究チームから受け取った資料を“リヴァイアサン”に手渡した。

 失礼します、と受け取って、手早く目を通す霧谷。



高原 : (霧谷)「……くそっ、さっぱりわからん!」

GM : 分かってほしいな日本支部長!(笑)分かっていいかな!

高原 : 【精神】高いから大丈夫だよきっと!(笑)



 やり直し。



GM(霧谷) : 「……これは、確かに盲点でしたね」

高原 : 「(霧谷を見る)」

GM(霧谷) : 「カウンターレネゲイドの特異性、選択性の利用……。専門の者の見解を募る必要はありますが、確かにありうる理論展開です」



 書類を繰る霧谷。数回読み返す彼を待って、高原が口を開く。



高原 : 「研究を、彼らは進めようとしていますし、私もできるかぎり後押しはしたいと考えております」

GM(霧谷) : 「(書類から顔を上げて、先を促すように頷く)」

高原 : 「ですが、非常に微妙な立場にある研究ということも確かだ」

GM(霧谷) : 「……接種の順序なり、戦力の低下なり。そういったことですね」

高原 : 「接種の……是非なり。」

GM(霧谷) : 「『是』か『非』かという事で言えば、我々が『非』と言うことは出来ませんね」

高原 : 「(うなずく)建前と言おうが、理想と言おうが、そのどちらでも同じこと。……少なくとも、あえて非と言う事にはかなりの危険を伴うことになる」

GM(霧谷) : 「……」

高原 : 「だがもちろん、あえて是と言うことにもまたある種の危険がある」



 間。霧谷、小さな溜息。



GM(霧谷) : 「お恥ずかしいことです。どこかで、まだ先のことだと…思ってしまっていたのでしょうね。我々も」

高原 : 「……。」

GM(霧谷) : 「(読み終えた書類を軽く持ち上げて)この作用機序の理論は素晴らしい。単純に治療薬としては、それを認められて然るべき内容と思います」

高原 : 「彼らは、より研究を進めるための予算の拡充と施設の充実を望んでいます。日本支部からの……あるいはUGN全体からのバックアップを」

GM(霧谷) : 「(うなずく)」

高原 : 「この研究は……ただ、あまりに速やかに進められると困る類のものでもある」

GM(霧谷) : 「……はっきりとおっしゃる」

高原 : 「だが、だからといってここで予算が下りなかった、研究を進めるのはちょっと無理そうだと言う話になれば」

GM(霧谷) : 「問題ですね。我々がそれを言って研究を停滞させることは、」

高原 : 「彼らに不審の芽を生むし、研究者たちが別組織に流れる危険性もある」

GM(霧谷) : 「それです。……疑うのは失礼だが、可能性は考えなければならない」

高原 : 「あるいは……彼らとてUGNのために働いてくれている人たちだ。治療とレネゲイドの根絶が真にUGNの理想のためだと考えるなら、彼らの言うUGNの理想とマッチさせるために、――陸自に流れる可能性もある。向こうも喜ぶでしょう」

GM(霧谷) : 「(軽く眉間に皺を寄せる)」

高原 : 「そうなってくると、また話が面倒になる。この上UGNが陸自とまで事を構えるわけにはいかない」

GM(霧谷) : 「これ以上の離反者も、正直出したくないところです」


FZ : この間のアレ(コードウェル博士の事件)で。

GM : うん。とても減った。


高原 : 「そうなって、もしも陸自が『人間側』として動くようになれば、そして『人間側とオーヴァード側』という構図になってしまったら、それは……」

GM(霧谷) : 「最悪の中の最悪ですね。」



 沈黙。



GM(霧谷) : 「……ともかく。これを広く公開し、予算を募り、場所や人員、治験者、そういったものを集めるには……『表向き』にするには。それまでに、我々がこれを『是』とするか『非』とするか、立場を明確にする必要がある。そして、――『非』の選択肢を取ることはできない」

高原 : 「理想というのは扱いの難しい暴れ馬のようなものです。乗りこなせれば最適だが、振り落とされることも多い」

GM(霧谷) : 「(少し笑う)耳の痛い話です」

高原 : 「だが、乗りこなすために馬を殺すわけにもいかない」

GM(霧谷) : 「(うなずく)」

高原 : 「『治療』が望ましいかは、ともかく。少なくとも、『治療手段』は望ましい」

GM(霧谷) : 「……こうしましょう。予算の拡充は先ず行います。だが、申し訳ないが、まずは秘密裏に、私が動かせる予算内での融通をします」

高原 : 「はい」

GM(霧谷) : 「そして、それ自体は……申し訳ないが、時間稼ぎです。その間に、公開を行いうるだけの準備を進めます。調査なり、根回しなり、シミュレーションなり。それから…説得力のあるデータの用意」

高原 : 「より厳密な理論の構築と、治験の結果」

GM(霧谷) : 「(うなずく)大規模な治験はまだ行えない以上、できるかぎり説得力のあるケースが望ましい」

高原 : 「――分かりました。何とかします」

GM(霧谷) : 「お願いします。私のほうでも、できるかぎりの支援はします。いざ態勢ができそうだというときに間に合わないことがないよう、まずは葉山市支部では治療薬のデータの補充と護衛を優先して下さい。大々的に使用する時にどうのこうのというのは、政策面を担当するこちらの仕事です」



 礼を述べて席を立つ間際、高原がもう一つ言い添えた。



高原 : 「霧谷さん。もしこういう手を取ることになったら私は反対する、という一つのアイデアとして――研究員たちを殺すというやり方は避けたいと思っている。肉体的にも、あるいは記憶除去という手段でも」

GM(霧谷) : 「(やや驚いて)もちろんです」

高原 : 「早く生まれすぎたものを、八方丸くおさめるために消すというのは、一つの手として常にある」

GM(霧谷) : 「無論それは――今回の場合には特に――あってはならないと思います」

あとり : ……そう答える霧谷の瞳は奥が深く、とても真意は読めない!

FZ : 読めない!(笑)

GM : なんでそんな霧谷さん悪い人にしたいの!?(笑)

高原 : こちらもニヤリと鮫のように笑って「そうですね」って答える!

GM : じゃ、じゃあそうしようか……

FZ : リテイクーー!!



 この後リテイクを試みるものの、各自が『奥の深い瞳』をやってみるうちに目を剥いて変顔合戦になったため、中止。



GM : ほかになにかききたいことは。

高原 : あ、ええと。霧谷の見解として、キュマイラピュアブリードの私が能力を失った場合どうなると思うかというのを聞いてみる。

GM : ん。ええと、身体能力の大幅な低下は予測されるし、その後多少入院したりなんかが必要になるかもしれないけれど、命にまでは別状は出ないのじゃないかと。ただ、その後の、秩序を守ったまま世界的な治療を行っていく作戦活動を行う上で、UGNがあなたを失うのは正直ちょっと辛い、とは言われます。

高原 : わかりました。

GM : うん。

高原 : 忘れがちですが、私も60経験点を注ぎ込まれた男。

GM : あとキャリアとかね? ちゃんとね?(笑)視点がUGN一辺倒じゃない所とか。あと、彼の理想主義的な部分が、あなたの理想と現実のバランス感覚を、エージェントとして必要としているのかもしれない。

高原 : わかりました。