◆ Middle 07 ◆  「糸車の針」


 Scene Player ―― “コンバット・シブチョー”高原 村雨



高原 : 宮永をSロイスにしようと思ってたんだけど。

GM : うん。

高原 : あとりに取りたくなってきちゃった……

GM : いいと思うよ! 自然な心の流れに従って。イベントのトリガーも引かれるとこだし、心配せずに好き勝手に進んで。

高原 : ……相浦あとりをSロイスに指定します。

GM : 了解!





GM : あとりが治験を受けに行くシーン。シーンプレイヤーは……高原のほうが辛そうなので高原。

あとり : (ぱちぱちぱち)

高原 : チョイスがおかしい(笑)……ラボは地下にあるんだよね。

GM : うん、地下だ。

高原 : あとりを連れているのでエレベーターで行きます。

GM : では、エレベーターの小さな空間。高原の傍らに、ちょこんと小さなあとり……服装はどんな感じ?

高原 : 全裸。

GM : 問題があるよ!?

あとり : 中学の制服かな。上と下がつながってるようなやつ。

GM : すとんとしたやつか。それで髪の毛はふたつ結びなんだよね?…改めて見ると、ずいぶん幼い感じがする。



高原 : 「……エレベーターって、遅いと思わないかい」

あとり : 「早く、早くと思っている時とか……気持ちに余裕がないと、そう思いますよね」




 ふたり、いつになくぎこちない会話を交わすうちに地下に着く。



GM : 左右に伸びる白い廊下。幅はそこそこ広いです。廊下の左右に研究室だの備品の倉庫だの、色々な扉が並んでいます。向かって右側の廊下の少し向こう、こっち(左サイドを手で示す)側に、人が出入りしている、ちょっと大きな病室っぽい部屋があります。ちょうど出てきた研究者がひとり、こちらに気づいて、

GM(研究者) : 「あ、……どうも!」

高原 : 「準備は進んでいるかい」

GM(研究者) : 「はい!後は、どなたに受けていただけるか分かれば計算をします。体重比で投与量が変わるので」

高原 : 「なるほど。……相浦くんが担当する」

GM(研究者) : 「あ、……(真剣な顔に)はい。(あとりに頭を下げる)」

高原 : 「彼女は、母体内にいた頃からレネゲイドウィルスの影響がある世代だ。少し特殊なレネゲイドを持っているから、サンプルとしてはやや不適切な所があるかもしれないが、それでもエンジェルハイロウという基本的なシンドロームはほかのオーヴァードと変わるところはない」

GM(研究者) : 「わかりました。相浦さん、よろしくお願いします」

あとり : 「着替え……って、貸してもらえますか」

GM(研究者) : 「そうですよね。すぐ持ってきます。大人用しかないんですけど、大丈夫ですか?」



 あとり、空いている部屋で術前術後衣に着替え、スリッパを履いて戻ってくる。



高原 : 「……(静かに)よろしく頼む」

GM(研究者) : 「(うなずく)では、こちらに」

高原 : 「どういう形式なんだい? 注射とかで投薬するのかい」

GM(研究者) : 「そうですね。血管の不快感等を抑えるために別の薬を点滴しますが、“シー・ウィッチ”本体は注射1回の量です。アンプルで密閉してあります」

高原 : 「麻酔のこういうの(吸入用のマスク)をしたりとか、そういう大掛かりなことではない」

GM(研究者) : 「そうですね。そういう意味では、大掛かりな感じはあまりしないと思います」

高原 : 「成果はすぐに出るかい?」

GM(研究者) : 「宮永先生によると、侵蝕の深い人ほど、投与後に深く眠る時間が長くなる傾向があるそうです。最長24時間前後。最低4時間前後です」

GM : 病室までついて行く?

高原 : ついて行ける所まではついて行きたい。

GM : じゃ、ICUに立ち入るときに着せられるようなやつをスーツの上から着て。



 案内された部屋も手術室ではなく、白いベッドの病室のような部屋だった。

 ただ、ベッド以外のスペースが広く、計器がたくさん置かれている。

 また、部屋の壁に、別の部屋につながっているらしいドアが、入り口以外に2つほどあった。準備室や研究室につながっているのだろう。



GM(研究者) : 「ベッド、上がれるかな」(介助)

あとり : 「……ふつう、ですね」

GM(研究者) : 「? ああ、体を開けたりはしないからね」

あとり : 「いえ、あの……拘束する機能とかはないのかなって」

GM(研究者) : 「え、ええ!? いや、一応倉庫にはあるけど……出してきます?」

あとり : 「なくても大丈夫な話ですか」

GM(研究者) : 「衝動の暴走ということ?」

あとり : 「(うなずく)闘争衝動の人だと暴れまわったりとか」

高原 : 「相浦くんは、シンドローム的に……レネゲイド能力を封じる石の手錠でもない限り、意味がない」

GM : みゃー(レーザー)だもんね(笑)

あとり : 「確かにそうですね」

GM(研究者) : 「あんまりそういうのもね、出来るだけしたくないし……」

あとり : 「分かりました」

GM(研究者) : 「何かあったら支部長いるし」

高原 : 「任せておいてくれ」

GM(研究者) : 「(振り返って、同僚に)なあ、マウスの結果で、暴れたとかあったか?」

高原 : 「ひでえもんだったぜ……」

GM : 誰!? 他の研究者は、資料をめくって、「やー、ないね」と首を振る。

高原 : 「なにぶん初めてのことだから、何があるか分からない所はあるが、まあ、気楽に気楽に」

あとり : 「はい」

GM : では、ベッドに寝かせられて……お布団かけるわけにもいかないから、保温性のあるシートをかけられて、頭や胸や手足にぺたぺたと色んなコードにつながったものをくっ付けられる。心電図だの脳波だの血圧だの、何か大きく変化があったら分かるようにだね。先に点滴をされて、その後に……



 研究員が、アンプルが12本入った銀色のケースを持ってきた。

 そのうちの1本を取り出して、



GM(研究者) : 「これです」

高原 : 「……それが……“シー・ウィッチ”」

GM(研究者) : 「はい」

FZ : その名の通り、青く透きとおった。

GM : いいね、それにしようか。……完全密封型の細いガラスの容器の中、透き通った青い液体が湛えられている。その先の部分をパキンと折って、注射器に吸い上げる。そしてあとりの細い腕を取る。

GM(研究者) : 「楽にしててね。眠くなってくるだろうから」

あとり : 「(うなずく)」

GM : ちくりと刺された感触があって、ゆっくりと薬液が注入される。

あとり : 「……ごめんなさい」と一言ぽつりと呟く。

GM : 傍らの高原にはその声が聞こえる。研究員がそっと針を抜いて、消毒。少しするとあとりがふっと目を閉じ、静かな寝息を立て始めます。退場ね。

高原 : それを、静かに見下ろす。

GM : 眠ってしまうと、また一段と小さく見える彼女。

高原 : 「経過を見る、ということになるかな」

GM(研究者) : 「はい。それについてはお任せください」



 研究者たちはあとりの体の状態を見る計器を見つめ、緊張した声で確認を取り合う。



高原 : 「くれぐれも、成果を焦らないように。君たちもプロフェッショナルだ、大丈夫だとは思うけれど。治験は何があるか分からないから、……どんな結果も、正確に私に伝えてくれ」

GM(研究者) : 「分かりました。万一のための生命維持の準備もこの通り」

高原 : 「あ、そのへんの仕事してない機械はそういうのなのか」

GM(研究者) : 「はい。……使うことは、ないと思いますが」

高原 : 「レネゲイドに直接干渉するものを、私たちは作ろうとしている。生み出そうとしている。私たちの常に恐れるものは……ジャーム化だ。彼女が眠る前に恐れていたのも、また」

GM(研究者) : 「……(あとりを見る)」

高原 : 「この支部に、対応できる戦闘能力の持ち主は少ない。何となれば、私が出る。すぐに連絡が取れるように」

GM(研究者) : 「了解、しました」

高原 : 「(うなずく)」

GM(研究者) : 「でも、……ぎりぎりまでは付き添って、鎮静なり調整なりを試みることは許可して頂けますか」

高原 : 「……(うなずく)諦めないことは大切だ」

GM(研究者) : 「はい」

高原 : 「そして、引き際を見るのはスペシャリストの仕事だな。君たちは君たちの職務を果たしてくれ。ちょっと仲たがいのようなこともしてしまったが、」

GM(研究者) : 「いえ、こちらが……急いでしまって申し訳なかったです」

高原 : 「お互いに、平穏や……平穏と言うと少し言葉がずれるな。……幸せのようなものを求めている。そこは私たちに共通のことだと思う」

GM(研究者) : 「……。」



 研究者が申し訳なさそうに俯く。ややあって、ぽつぽつと話し始めた。



GM(研究者) : 「……その。言い訳のようで申し訳ないんですが」

高原 : 「うん?」

GM(研究者) : 「実は、もう少しゆっくり考えて頂こうと思ったんです。思ったんですが……宮永が」

高原 : 「宮永さんが?」

GM(研究者) : 「そろそろ出来上がるとなって、一週間くらいまともに眠ってないんですよ、あいつ」

高原 : 「(眉をしかめる)」

GM(研究者) : 「ふらっふらのよろっよろになってて。帰って寝ろって周りは言ったんですけど、目処が立つまではどうしても! って言うので……わかった、治験者を決めてもらったら、後は投与して待機になるから、って。すぐ決めてもらえたら、帰って寝るな?って聞いたら、やっと『うん』と言ったんで……。本当は投与まで付き添うって言い張ったんですけど、叱り飛ばして帰らせました」

高原 : 「……君達はスペシャリストだ。宮永さんを言い訳にしちゃいけない」

GM(研究者) : 「……申し訳ありません」

高原 : 「急いだのも君たちの判断。その判断が……正しかったことを祈ろう」

GM(研究者) : 「間に合ったことも祈ります。無事に帰ったかな、あいつ、駅の階段から落ちたりしてないといいんですが」

高原 : 「寝ているかもしれないが、あの……そうか、彼の場合、家に電話するわけにもいかないか。……誰か様子を見に行ってやってください。渡辺が帰ってきたら彼に頼むことも出来る。私は……ちょっと、ここを離れたくない」

GM(研究者) : 「はい」

高原 : 「……そうか。宮永さん、か」



GM : 場所的にはこの階にいるまま、出来る範囲で調べ物とかはしていいよ。途中で何か起こるかもしれないけれど。

高原 : 電話は使える?

GM : 使える。廊下の端っこのほうに行けば何も言われないと思う。

高原 : 一応、フェイタルゾーンに、さっき投薬が行われた旨を伝えておく。それから、相浦くんは安静にして今のところ眠っているということ。

GM : OK、それではメール……あ、できないんだ。

高原 : 打てない……(笑)

GM : じゃあ、その設定を使わせてもらおう。廊下に、壁掛け型の電話がひとつある。内線メインで使ってるやつ。それを使ってフェイタルゾーンに連絡をしたとして……連絡し終えた所で。

高原 : 「(受話器を置く)」

あとり : ぴぴー、ぴぴー、ぴぴー。

FZ : テレカかよ!

高原 : 大丈夫、欠かさず持ち歩いている!

GM : なんでお金取るの!?

高原 : いや、アールラボと上の階はまた別の組織だから、

GM : 違わないから! 君の部下だから!(笑)

FZ : 内線。内線。(笑)

GM : やりなおすね!? ……受話器を置いた途端に、るるる、るるる、と、ちょうど内線の連絡が入ります。

あとり : その電話に。

GM : うん。





高原 : 「はい、(少し考えて)アールラボ」

GM : 「もしもし、そち……あれ? 支部長? そちらにいらっしゃるんですか」事務をやってくれている、非オーヴァードの職員が。

高原 : 「あ、松岡さんですか」

GM : じゃあ松岡さん(笑)

高原 : 「どうも、お疲れさまです」

GM(松岡) : 「ちょっと、ラボのかたの方にですね、……これ、クレームって言うんですかね、業者さんから客側に入るのって」

高原 : 「クレーム。何だろう。誰か問題を起こしたとか」

GM(松岡) : 「今度から気をつけてくれ、っていうくらいのことだったんですけど。メモ読みますね?」

高原 : 「分かった、教えてくれ」

GM(松岡) : 「○×環境保全さんていう、廃棄物の収集運搬業者さんなんですけど」

高原 : 「ああ、研究室から出た廃棄物を」

GM(松岡) : 「はい。そちらから、『分別を間違えないでほしい』と」

高原 : 「分別を? 何か混ざっていたんですか」

GM(松岡) : 「詳しくは聞いていないんですけれど……出した人に言えばわかると思うから、次からまたこういうことがあるとお断りさせて頂くかもしれないので、気をつけてねと伝えてください、って言われました」

高原 : 「なるほど。そういうことは、よくあるのかな」

GM(松岡) : 「いやー、そんなに無いんですけどねえ……いつもは関係の会社さんにやってもらっていますし。そこは一般廃棄物も感染性廃棄物も、一か所で引き取っていってくれますから。両方認可受けているところなので」

高原 : 「ちなみに、いつの、どれくらいの時間のものなんだい?」

GM(松岡) : 「あ、ちょっと聞いてないです。私からお電話返して聞いてみましょうか?」

高原 : 「いや、こっちで聞いてしまおう」

GM : では、その○×環境保全の電話番号を伝えられます。






GM : では電話の向こうで、「はい、○×環境保全ですー」

高原 : 「あ、もしもし。どうも、お世話になっております。ネイバーズサイトの高原と申します」

GM(○×環境保全職員) : 「ああ、どうも。すみません、お気を遣わせてしまいまして」

高原 : 「いえいえ。そのですね、こちらのほうでちょっと、事実関係を確認しておきたいと思いまして」

GM(○×環境保全職員) : 「え、えー。いや、そんな大げさなことではなくて、次気をつけてくだされば結構ですので。謝罪しろとかそういうことではないので……」

高原 : 「いや、こちらもその、大げさなことではなくて……どういう間違いだったんですか?」

GM(○×環境保全職員) : 「あのですね……実験動物っていますよね?」

高原 : 「はい」

GM(○×環境保全職員) : 「確かに実験動物さんの死体っていうのは一般廃棄物扱いなんで、もちろんうちでも扱っているんですけども……あの、ちょっと今回みたいなのですと、これ感染性廃棄物なんじゃないかって言われちゃって」

高原 : 「なるほど」

GM(○×環境保全職員) : 「今回はうちのほうで、つきあいのある、感染性のを扱える会社に回させて頂いたんですけれども。そうなると、運搬費用とかやっぱり掛かってしまいますので……。うちの職員の、そちら様へ引き取りに行った者のチェックがね、ちゃんとしてなかった責任なので、今回はもうあの、払えとかそういうことはナシでいいんですが、次回からちょっと気をつけて頂ければと」

高原 : 「申し訳ないです」

GM(○×環境保全職員) : 「いえ、そこはこちらの落ち度ですので。……お預かりしたものを全て何に感染しているかいないかとか検査するわけではもちろん無いんですけれども、『見た目』で引っ掛かることもあるんですよね、申し訳ない話なのですが、あんまりアレだとそっち系の認可を持っている会社に頼んで下さいと言うようにしていて」

高原 : 「こちらも、担当した者に事情を確認している最中なのですが……どういったものが? 実験動物の……」

GM(○×環境保全職員) : 「マウスですね」

高原 : 「マウス。……なるほど。それが、感染性廃棄物として考えられる可能性があったと」

GM(○×環境保全職員) : 「はい」

高原 : 「わかりました。ちなみに、いつの収集のものですか?」

GM(○×環境保全職員) : 「一昨日です」

高原 : 「一昨日。……わかりました、ありがとうございます。では、担当の者にこちらも確認を取りまして、こういうことが今後無いようにいたしますので」

GM(○×環境保全職員) : 「はい、よろしくお願いします。ご丁寧にありがとうございました」

高原 : 「いえ、こちらこそ。今後ともよろしくお願いします」

GM(○×環境保全職員) : 「はい、よろしくお願いします」








 高原、電話を切る。



高原 : 「……。一昨日、か」一昨日にゴミ出しをした人を確認したい。

GM : 研究員たちに聞くと、ひとりが「私です」と名乗り出て、ごく普通のゴミ出しの内容を説明します。ここらへんはうちで焼却して、ここらへんは業者さんに出しました、というようなこと。

GM(研究者) : 「どうかしたんですか?」

高原 : 「いや……あの、マウスが捨てられていたらしいんだ。一般廃棄物として」

GM(研究者) : 「ああ、そうなんですよね。あれは普段は一般廃棄物として出します」

高原 : 「それが、……どうも、分別の関係で問題になったらしいんだ」

GM(研究者) : 「え?」

高原 : 「一昨日ごろ、何かの実験にマウスを使ったかい?」

GM(研究者) : 「はい、使いました。レポートに載せたあれですね。でも、あのマウスたちなら、全部元気でふたつ隣の実験室のケージの中にいますけど」

高原 : 「その日に誰か、マウスの死骸を捨てたかい」

GM(研究者) : 「捨て……捨てた? 誰か捨てたか?」振り返って他の研究者に聞きますが、皆「ううん」と首を振ります。

高原 : 「特に捨ててはいない」

GM(研究者) : 「死骸、出てませんからねえ」

高原 : 「……見せてくれ」

GM(研究者) : 「あ、はい。こちらです」



GM : 案内された部屋の中には、マンションのように積まれたケージ。入ってゆくと、マウスたちは元気にぱたぱた、ちゅーちゅー騒ぎます。注射された跡があるのと、耳に小さなタグがついている以外は全く普通の様子。

高原 : 「この子たちは、管理されていて……まさか取り違えるようなことは起こらないし、いなくなったらすぐ分かるようなものだよね?」

GM(研究者) : 「はい。耳のこのタグで判別しています」

高原 : 「取って他のに付け替えたりできるようなものではない」

GM(研究者) : 「はい。外すと色が変わってしまうようになってます」

高原 : 「なるほど。……」

GM(研究者) : 「……あ、も、もしかして、失敗の隠蔽とかそういうの疑われてま……す?」

高原 : 「いやいや。……ただ、クレームがあったということは、何らかの現物があったということなんだよ」

GM(研究者) : 「失礼なんですが、それ、どちらさんですか?」

高原 : 「○×環境保全さん、という……」

GM(研究者) : 「え?……どこですかそれ」

高原 : 「?」

GM(研究者) : 「(UGN)系列の所にいつもお願いしてるはずなんですけど。依頼先、変わったんですか?」

高原 : 「いつもはそこではないんだね?」

GM(研究者) : 「ええ。うちはほら……色々、ややこしいので」

高原 : 「……わかった。ありがとう」

GM(研究者) : 「は、はい」



 部屋を出て行きかけたところで、高原が研究者にたずねる。



高原 : 「ちなみに、ここからは研究所職員の一般的な常識の範囲でいいんだが。実験に使ったマウスが、一般扱いではなく感染性廃棄物と疑われるような見た目って、どんなものだと思う?」

GM(研究者) : 「うーん……(考える)はっきりと、それで相手がクレームつけてきたんですよね? 感染性廃棄物扱いにしてくれって。業者さん側から、一応客のこちらに。そしたら……」

高原 : 「ああ」

GM(研究者) : 「……よっぽどなんじゃないですか」

高原 : 「……」

GM(研究者) : 「切り開いてもいないのに不自然な出血がものすごいとか、どこかが異常に肥大しているとか、皮膚の色がおかしかったり、ひどい発疹が出てるとか……」

高原 : 「…………。」



 研究者は同僚の所へ行き、○×環境保全という業者に依頼をした者がいないか確かめた。

 業者は実在するが、UGN系列でないその業者にわざわざ頼んだことのある者はいない。それが結論だった。

 彼らは高原の指示を受け、○×環境保全に連絡を取って、彼らに死骸の受け渡しをしたのが誰だったのかを確認。



GM : 調査の判定自体は高原が打つことになるかな。

高原 : 「……一刻を争う事態かもしれない。そうでないことを祈るが」

GM(研究者) : 「わ……わかりました」



 高原は[コネ : UGN幹部]を使って判定。



高原 : (ダイスを振りながら)フルパワーアタック!

GM : やめて!?

高原 : 回った。20。

GM : そんなにいらないよ! 目標値9だよ!

FZ : フルパワーパワーだ!(?)

GM : そうすると。……その業者に連絡し、見積りをしてもらい、依頼と受け渡しを行ったのは……宮永だということです。

高原 : 「……」

GM : ……シーンを終了します。

高原 : それじゃ、最後にカメラが高原の拳を映して……それが、ぎりっと握り締められる。

GM : おお〜。