◆ Middle 10 ◆  「舌切りすずめ」


 Scene Player ―― “光芒一閃”相浦 あとり



GM : では、あとりのシーンです。

高原 : 舞台裏だ! 舞台裏でできることをしないと!

GM : 舞台裏で何かできるゲームじゃないでしょ!? できたら強いでしょ!?

高原 : 侵蝕率の回復。

GM : 上がるの!? 下がるの!?






GM : それでは。あとり、夢の中のシーンです。まず、あなたが立っているのは……今って、UGNに指定されたところに住んでるのかな?

あとり : うん。アパートか何か。

GM : ひとり暮らし。

あとり : うん。

GM : では、その部屋。初めて来た日のようにがらんとしていて……手の中に小さな荷物。窓にカーテンもなくなって、殺風景な部屋。……あ、自分はここを引き払うんだった、という実感がふと頭の中に灯る。

あとり : 当然のことのようにひとつうなずいて、部屋をあとにする。

GM : うん。では、外には、知り合いの……この市の支部のエージェントがふたりほどいて、駅まで送ると車に乗せてくれます。

あとり : 「(丁寧に頭を下げる)」



GM : 駅までの道のり。街の中を走る。この3週間、たった3週間、過ごした街が窓の外を通り過ぎていく。

あとり : 「……(窓の外をぼんやり見つめる)」

GM : 駅前に着く。エージェントが車のドアを開けてくれる。

あとり : 車を降りて。

GM : (エージェント)「……元気でね」

あとり : 「お世話に、なりました」

GM : 駅に向かう君の背中の後ろで、ようやっと聞きなれてきたこの駅前のざわめきが、だんだん遠ざかっていく。

あとり : 「…………。」



GM : そしてまたふっと気がつくと、別の小さな部屋の中で、ひとり……ちゃぶ台じゃないけど、床に置く小さなプラスチックのテーブル? についてご飯を食べている。テレビがついていて、わやわやと出演者たちが騒ぐ声、客席の笑い声。カーテンが揺れて、外からカラスの鳴き声がする。

あとり : 「(食器とお箸を手に取る)」

GM : そして、……女性の部屋なので、ちょっと古風だけど、ドレッサーがあってもいいかな。

あとり : うん。

GM : その鏡に映った自分の姿が目に映る。ずいぶん年をとっている。10年くらい。24、5か。

あとり : 「(中途半端に手を浮かせたまま、鏡の中に目を留める)」

GM : ドレッサーの横の壁にカレンダーがかかっている。その右上に書かれた西暦も、ちょうど今から10年後。10年が経っていて。

あとり : 「……」

GM : そこで、ふと思い出す。――弟のことを、忘れていた。

あとり : 「……――!」



 凍りつく、あとり。



GM : カラスの声が、遠くに聞こえる。

あとり : 「どうして……忘れていたんだろう」

GM : かすかな声が、ぽつんと部屋の中に。……テレビの中から笑い声。

あとり : 「――これは。……誰の、夢?」

GM : 呟いた瞬間、その言葉に引っ張られるように、意識が浮上します。