◆ Middle 11 ◆  「うりこひめのお籠」


 Scene Player ―― “コンバット・シブチョー”高原 村雨



GM : では、高原のシーンになります。あとりの眠る部屋、先ほどのシーンの直後。

高原 : 夢は覚めて……私が動く!(侵蝕率ダイスを振る)たったの10。

FZ : わあ、やっちゃった!

GM : おー、おー。

FZ : クライマックスでまだ上がるんだぜ?

高原 : 大丈夫。私のDロイスの名を知っているか。

FZ : ……あ、そうか、

高原 : [戦闘用人格]。

あとり : それは知らなかった。

FZ : てっきり[生還者]だと思ってたんだけど。

高原 : 私もそうだと思ってた。

FZ : なんで知らないうちに変わってんだよ!?



 [生還者]です。



GM : では、〈知識:医学〉か〈知識:レネゲイド〉の判定を。あとりの体に入った薬についての調査、判定を打つのは君で、演出的には研究員たちに命じてやらせる形、だったね。

高原 : 〈知識:レネゲイド〉なら持ってる。

FZ : 【精神】1だけどな。

高原 : UGN支部長Cだから、〈知識〉は2レベル持ってるんだよ。ひとつは〈知識:四輪運転〉だけど。

GM : 〈運転〉じゃなくて?

高原 : うん。

FZ : どんだけペーパードライバー!?



高原 : 背広なんだけど、あくまで焦らずに、こう、じっと研究員たちを見つめながら……するするっとネクタイを解いて尻ポケットに突っこんで。背広の前を外して、静かに指をグーパーし始める。……あ、ダメだったら殺すよとかそういう威嚇ではなくて。

GM : (笑)

高原 : 彼らを信じて。……その姿が彼らに無限の勇気を与える!

GM : よし、与える!

高原 : クリティカル。

あとり : 与えた!

高原 : 15。

GM : 充分です。では、まず、マウスのほうを調べに行った研究者たちが、妙に早く駆け戻ってくる。






GM(研究者) : 「支部長!」

高原 : 「判った事は」

GM(研究者) : 「ケージの中のマウス全個体……発症履歴がありません!」

高原 : 「……発症履歴がない? つまり?」

GM(研究者) : 「注射器のあとが付けられているだけで……発症の痕跡が全くありません。EXレネゲイドに感染・発症させたマウスではないということです。最初から!」

高原 : 「ケージのマウスが無事だったのは、そもそもオーヴァードでなかったから」

GM(研究者) : 「はい……」

GM : 別の研究者のひとりが、かぶっていた布のキャップを取って「くそっ!」と床に叩きつける。

FZ : かつがれた。

GM : その直後。“シー・ウィッチ”の薬液本体を調べに行ったメンバーも君の所へ、同じような顔をして駆け戻ってくる。

GM(研究者) : 「支部長!」

高原 : 「……結論だけ聞かせてくれ」

GM : 先を折ったアンプルをばっと君の前に突き出す。指が震えていて、今にも叩き割りそうな勢い。

高原 : 「それは」

GM(研究者) : 「静脈麻酔剤。……ただの、鎮静剤です……!」

高原 : 「それを準備したのは?」

GM(研究者) : 「……宮永さん、です」

高原 : 「できていたはずのサンプルがあったんだね?」

GM(研究者) : 「はい」

GM : ケースを抱えていた研究員が、残りの……もう全部開封して調べられているけれど、アンプルを見せる。これと同じ数ならば、持ち出された“シー・ウィッチ”はあと10本。いや、君の目の前にあるのを数えれば11本。

高原 : 「……素晴らしい」

GM(研究者) : 「え!?」

高原 : 「それぐらい力押しをやってくれるほうが、私は好きだよ」

GM(研究者) : 「しぶ……」

高原 : 「全部調べたね?」

GM(研究者) : 「は、はい! 相浦さんに投与したアンプルのものも、残りの薬液を調べました」

高原 : ざっざっざっざっと、あとりに近づいていく。

GM(研究者) : 「お、お起こししますか?」

高原 : 「起こせるものなのか」

GM(研究者) : 「この種類ならば、拮抗薬があります!」

高原 : 「よし、私よく分からないがそれを使うんだ!」

GM(研究者) : 「はい!」



 別の研究員が拮抗薬を探してきて、あとりに投与。

 ものの10分もかからずに、あとりがふっと瞳を開いた。



あとり : と、登場したほうがいい?

高原 : 「まだ意識が曖昧なようだ!」

GM : (笑)いいよ、しなくてもいい。何か話を聞いたり、アクションを起こしたりするときには登場してね。

GM(研究者) : 「もうしばらくすれば意識がはっきりするはずです」

高原 : 「わかった。すぐに私が出る。いや、彼女もいっしょだ」

GM : では、ちょうどそこで。上の階から、乗用車が滑り込んできてブレーキをかける音が聞こえる。

高原 : 「ここを頼む。それと……彼の残していった研究にも、まだ生きているものがあるはずだ。それを……拾うことは、どうか躊躇わないでくれ。少なくとも、彼は……尽力はしてくれた」

GM(研究者) : 「……はい……」

高原 : それではあとりを、ベッドごと、

FZ : 適当抜かすな!

GM : で、できるだろうけどさ!? じゃ、じゃあ、ベッドごとこう持ち上げると、周りの研究者が「支部長!ドアの幅、ドアの幅!」

高原 : 「ドアの幅! そうか、拡げなくてはいけないか」

GM(研究者) : 「支部長! 支部長待って! 相浦さんを保温シートでくるめば冷えませんから!」

高原 : 「あ、ああ、そうか。どうりで重いと思った!」

GM(研究者) : 「しぶちょー!」

高原 : ベッドを置いて、上だけひょいっと。あとりを背負って、ザッザッザッ! ドカン! ゴン! ドカン!

FZ : え、何の音!?

高原 : ドアが狭いから。

GM : あとりが当たった音!?

あとり : ぷらんぷらんしてるから。ゴッて。

高原 : あとりをこう(肩に背負う)しょってるから、肘がこう。

GM : 君の肘か!(笑)

高原 : ドアの横の壁に肘の形の穴が開いて。

FZ : ラボを壊すな!