◆ Crymax 01 ◆  「塔の上の姫君」


▼ Part.F − 帰還



高原 : あ、ごめん。[戦闘不能]の回復とバックトラックはどっちが先?

GM : えっと、

あとり : バックトラックは、クライマックスフェイズが終了した時。

GM : [戦闘不能]の回復は、基本的に戦闘終了時。……回復が先だな。

あとり : うん。

GM : シーン内にやりたいことある?

高原 : うん。

GM : 了解。それでは、そちらを先にやろう。……高原が何とか動けるようになった直後、



高原 : 「サンプルを置いて、……逃げなさい。宮永さん」

GM(宮永) : 「! ……な、……にを」

高原 : 「……(まっすぐに見つめる)」

GM(宮永) : 「何故、私にそんなことを? どうして……あなたが!」

高原 : 「ここからは予断を許さない時間だ」

GM : その眼の光に、びくりとする。

GM(宮永) : 「逃がすんですか? 私を……私を?」



 嘲笑を浮かべようとしたのだろう。

 混乱した、怯えた顔の宮永の、唇の端が引きつった。



高原 : 「……早く休むか、遅く休むかの違いです」

GM(宮永) : 「(頭を振りながら一歩下がる)」

高原 : 「……ひとつだけ」

GM(宮永) : 「(顔をあげる)」

高原 : 「……奥さんと、娘さんの……墓参りをしてやってください」

GM(宮永) : 「!!」

高原 : 「欠かさずやっているさと、思うかもしれないが……死者と、墓前で、もう一度向き合えるか……試してみてください」

GM(宮永) : 「……う、……!」



GM : 宮永は、……アンプルの入っていたケース自体は、さっきの揺れで地面に置いていたらしい。そこには11本のガラスの筒が納まっている。けれど、宮永が無言でスーツのいくつかの隠しポケットに手を差し入れると、3本のアンプルが出てくる。それを、ケースの上にばらばらと落とす。そして、ぱた、ぱたっ、とこちらを向いたまま数歩下がってから、ぱっと向きを変えて走り出す。

高原 : 「…………」

GM : ……今なら。爪を伸ばせば届く。ほんのつついただけで、後ろを向いて逃げる獲物に。

高原 : 「……タイタスは、昇華するもの。そこに留まれば、次のロイスとの関係性を見失う。(ダイスを持つ)……彼は、犯罪者だ。けれどジャームではない」

GM : では、バックトラックを。

高原 : [Dロイス]込みでダイス6個。馬鹿な!! どうしようかな。

GM : こっちもちょっと数えるね。

あとり : なんか数えてる!

FZ : ちょ、怖い!

GM : 気づいてるだろうけれど、汐のバックトラック。この場所での戦闘になったので、開始時の侵蝕率は90%だった。現在値は117。

あとり : うお。

GM : スーツの前を合わせたまま、フェイタルゾーンのほうを向いて、こつんと寄りかかる。

FZ : 「……よし。帰って来い」

GM : が、フェイタルゾーン。あなたの衝動は、その異物を、ゾーンを広げてはじき出してしまえと呼びかける。

FZ : 「ステイ! ここで踏ん張るのが“フェイタル・ゾーン”だ!」(ダイスを持つ)



あとり : あ、待って。エグゾーストロイスの分は先に振る。

GM : あ、そうだ! ありがとう。

FZ : うん?

あとり : 敵が持ってたエグゾーストロイスの数だけ、バックトラックのダイスを増やせる。その分は先に振るんだ。

GM : それ。鞠の持っていたエグゾーストロイスは、[Eロイス:飢えの淵]×2、[Eロイス:傲慢な理想]×2の合計4つ。ひとつしか使わなかったな。でも、“所持している数”だからダイスは4つ増える。

FZ : ずいぶん持ってたな。

GM : うん。こっちに複数攻撃手段があるから、同時に複数人数[戦闘不能]にして取り込むチャンスがあるかなと思ってたんだよ。で、[Eロイス:傲慢な理想]は、2回重ねがけすると[対象]を[シーン(選択)]にできるから。

FZ : おそろしや……

高原 : “あなたが傲慢で身勝手な理想を肥大化させたジャームであることを表すEロイス”。

GM : うん。見ての通り。彼女の『傲慢な理想』は、『人間に戻りたい』。

高原 : ……ほほほほほ。(GMにうめぼし)

あとり : 普通のバックトラックの前に振る。振らないこともできる。

GM : みんな振る前でよかった。では、振る人は先に4つ。

高原 : ……129から110まで下がった。

FZ : 俺は振らない。

あとり : 139から110まで下がった。2倍振りしなくてよくなった!

高原 : こちらも2倍振りしません。

GM : しまったなあ。もっとやってよかったかな。

FZ : い、いや、防御を固めてなかったから、1回食らうと1回倒れる状態だったからね!? 1ラウンド伸びたら大惨事だったからね!?

GM : ヌヌヌヌ。

あとり : 31点減って……79。

高原 : え、下がりすぎたっ。68。

あとり : [Dロイス:生還者]って、必ず振るの?

高原 : 振る。

GM : 高原は戦闘の後半殴れてないからなあ。ごめんね。

高原 : なんのなんの。

あとり : エグゾーストロイスの分を振らなければ良かったくらいかな?

高原 : うん、でも、なんか、4個振れるっていうの嬉しくて思わず振っちゃった(笑)

FZ : こっちは114から86に。



あとり : アンプルをひとつ宙に浮かべる。……“塔の上の姫君(ラパンゼル)”は、帰ってこられる?

GM : うんとね。……ロイス欄は、
「Dロイス:対抗種」これは周知の通りノーカウント。
「内海鞠:幸福感/疎外感」、ポジティブが表、タイタス。
「UGN:保護者/猜疑心」猜疑心止まり。オープニングで会った時点で、フェイタルゾーンが、自分がUGNエージェントであるのを説明していたことで、タイタス化まで行っていませんでした。
「宮永洋平:傾倒/不安」傾倒が表だったがタイタス化。
「フェイタルゾーン:幸福感/不安」
「相浦あとり:懐旧/疎外感」
「高原村雨:好意/恐怖」
3人には現在ポジティブ。タイタス化はしませんでした。

FZ : うわああ。良かった。

GM : このため、振るダイスは4つ。鞠と敵でなかったし、意識して撃破してもいないので、エグゾーストロイス分は振りません。

高原 : 4個で18以上!?

GM : 目次第。……(ダイスを握る)

高原 :がんばれ!

FZ : うおおおお!(ダイスに手をかざす)

GM : ……28。最終値89。

高原 : おおおおお!

FZ : あぶなかった。あぶなかった。

あとり : ……(少しだけ微笑む)アンプルを元に戻します。