Double Cross the 2nd Edition
シナリオ「 嘆 き の ラ ヴ ィ ー ニ ア 」

クライマックス

 霊安室。ひんやりとした空気の中に、異質な血の匂いが満ちる。
 聞こえるすすり泣きの源は、壊れた人形のように 壁にもたれ だらりと腕を下げて座った美奈子。

 近づくと彼女は恐慌にかられ泣き腫らした目を上げた。

「先生、痛い、どうしよう」
「どうしよう… 『治らなくなっちゃった』」


 そして、肘から先のなくなった、切り株のような腕をさし上げて見せる。

「前に食べたときは治ったのに」
「先生、たすけて」
「おなかが… すいた」


 齧り取られた腕の切り口から触手が伸び、顎が外れたように大きな口を開け、彼女は襲い掛かってきた。




 戦闘ラウンド。

 1ラウンド目。
 美奈子に接近して戦闘体勢を取ろうとする“フェイタル・ゾーン”を空紫が止める(エンゲージ離脱に妨害の意思を宣言)
 沢口は美奈子の手を〈ヒール〉で癒すことを試み、響子は待機を宣言。

 この対応を感じ取る事が出来たのか、
 衝動的な初撃を加えてきたあとは、美奈子は必死に衝動を抑え攻撃を一時中断する(エキストラに移行)。
 代わりに、彼女の傷口や口、目などから、
 きらきらと光る青い光の粉…「ブルー・フェアリー」が空中に散布され始める。
 周囲の無機物が、カタカタと不気味に震え始める。



 2ラウンド目、セットアップ。
 響子の真後ろに、“ブラス・ブラック”… 深槌 英郎が現れた。

 アルファ・トランスのこと、ブルー・フェアリーのこと、
 安藤の感情を利用して美奈子のクローンを繰り返したことなどを喋りたて
 響子の怒りを煽る深槌。
 そして告げる。美奈子は響子のためのプロトタイプに過ぎないのだと。
 彼は響子の破壊衝動に惚れこみ、その衝動の込められた「ブルー・フェアリー」を造り出すことを願っていたのだ。


「オレが憎いだろう? そう…その表情だ。さあ、全部ぶっ壊しちまえよ、響子!」


 深槌がパチンと指を鳴らし、見えない薬品を散布する。
 アルファ・トランス。
 美奈子の体からブルー・フェアリーが噴出し、周囲の無機物が寄り集まってクリーチャーと化す。
 響子ら全員の体の中にも衝動が爆発する。

 衝動判定には全員が奇跡的な数値で成功、
 しかし数人の侵食率が相当まずいことになった状態で、
 クリーチャーと深槌を相手取った戦いがあらためて続けられる。

 深槌は響子を更に怒らせようと、後輩格の沢口を攻撃。
 “フェイタル・ゾーン”がこれを守りきる。
 響子は初手から全力(〈マシラのごとく〉)で深槌を攻撃。


 空紫は、クリーチャーに(物理的に)半ば取り込まれた状態の美奈子に
 〈止まらずの舌〉〈アクセル〉を使用。

 〈止まらずの舌〉による効果で、彼女の未来の望みを尋ねる。美奈子の答えは
 「あしたも先生と勉強して、いつか看護婦さんになりたい」
 空紫は、続いて彼女に大切な人はいるかと尋ねる。
 美奈子の答えた名前の中から、現状でロイスとして有効そうな対象は約6人。
 (育ての父・成人は自分が食べてしまったことを覚えていたためタイタス化済)
 彼女の侵蝕値は、150。
 …なきに等しい可能性に賭けて、それでも全員が動いた。



 駒形の支援でセカンドアクションを得た沢口がクリーチャーを攻撃し、美奈子から切り離す。
 その隙を突き、空紫は美奈子に〈アクセル〉で起こしたセカンドアクションを使わせて
 共にエンゲージ外に脱出する。

 直後、響子が深槌を倒し、
 “フェイタル・ゾーン”の唯一の攻撃エフェクト〈プラズマカノン〉がクリーチャーを焼き尽くした。




 自律判定。
 響子は侵蝕率99%で帰還。深槌の罠を振り切った。

 が、美奈子の判定はやはり失敗。
 かき消える最後の理性で、空紫を傷つけまいと突き飛ばした、その腕から触手が勝手に飛び出し彼を襲う。
 刹那、響子の剣がそれを断ち落とし、
 主治医・駒形の〈水刃〉が美奈子に止めをさした。

 流れる静寂。
 沢口が美奈子に歩み寄り、彼女の遺体を
 モルフェウスの力で もとの人間の少女の姿に再構成した。


 

目 次

 1. 参加PC

 2. オープニング

 3. ミドルフェイズ

 4. クライマックス

 5. エンディング


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