Scene Player ―― ゲームマスター
GM : 次は、みんなが清陵学園に登校するシーンです。今日は9月30日。明日は文化祭初日になりますので、授業は全くありません。
龍之助 : 一日準備してていい!
GM : そう!
龍之助 : うおー! いい学校だー!
GM : 今回は生徒会執行部と聞いていますが、出し物は何?
秘野森 : 喫茶店。
シオリ : になりました。
GM : わかった。少女マンガとかにありそうだ(笑)
GM : 私立清陵学園ではですね、木槌やノコギリを振るう音が教室や校庭や、あちこちからしています。喫茶店やヤキソバを売ったり、オバケ屋敷をやったりするところかな。体育館からはチューニングをしているのであろうエレキギターの音が聞こえてきたりとか。
ユヤ : (エレキギター)キィーン、ビュビューン。
GM : 同じく体育館からは、ロミオとジュリエットの練習をしている声。
龍之助 : (演劇部員)「ばあやを使いに出したのは時計が9時を打ったとき……」
GM : そんな状態でスタートいたします。さて……
秘野森 : 「……毎年、うちの学校の生徒会がこうして喫茶室……人がやってくる催し物をすることにはちゃんと意味がある」
シオリ・龍之助・ユヤ : 「……」
秘野森 : 「……なんで『知らない』って顔をするんだ!」(笑)
ユヤ : 「えっ、えっと!」
龍之助 : 「あったの、そんなん?」
秘野森 : 「ある。……生徒会室には、普段は一般の生徒は入らない」
龍之助 : 「えっ」
ユヤ : 「先輩が女の子を連れ込んでるのは別枠なんじゃないかしらね」
秘野森 : 「で、そんな生徒会室に、他の生徒にも気軽に入ってもらい、こういうふうになっているんだよと紹介し、生徒会活動に興味を持ってもらうという目的だ」
龍之助 : 「ほー」
GM : まっとうな説明だ。
シオリ : 「……じゃあ、いくらで執事の服を借りられるか……計算します」
ユヤ : 「心強いわー」
シオリ : 「当然、先輩方、執事の役。……やりますよね」
龍之助 : 「お、執事でいいの?」
秘野森 : 「待て、何をするつもりだった」
龍之助 : 「え、いや、なんかもっとスゴイことになるのかと思ってすげえ心臓バクバクして」
ユヤ : 「着ぐるみとかでもいいの?」
龍之助 : 「おう、や、やるぞ」
ユヤ : 「いいんじゃないかしらね」
秘野森 : 「動きにくいだろう。配膳が難しい」
シオリ : 「陸奥先輩が執事やれば、女の子が……いっぱい来る」
龍之助 : 「あー、そか。売り上げ大事だね、売り上げ」
シオリ : 「(こっくり)」
龍之助 : 「よし! 任せとけ……え、その売り上げってどうすんの?」
GM : 「そりゃ、楽しいことに使うのさ!」と水波カオルがニコニコしながら。
龍之助 : 「そっか! ぱーっと飲むか!」
秘野森 : 「陸奥君」
龍之助 : 「うん?」
秘野森 : 「原価を超えた分は、君たちの懐に入るわけではない」
龍之助 : 「えー、そっかぁ……え、もしかして」
秘野森 : 「何だ」
龍之助 : 「明日稼いだ分で来年の学校運営すんの!」
秘野森 : 「いや、学校を運営するわけではないが!」
シオリ : 「生徒会費になります」
秘野森 : 「そう。イベント費であるとか、生徒会主催で何かをするときの費用に使われる」
GM(カオル) : 「大丈夫だよ。今回の生徒会にはシオリちゃんがいるもんね。シオリちゃんはしっかり者だから」
ユヤ : 「そうね!」
龍之助 : 「そうそう、シオリちゃんに任せておけば大丈夫!」
GM(カオル) : 「うんうん」
龍之助 : 「もうどんッなことやっても赤字にならない」
ユヤ : 「シオリちゃん!?」
シオリ : 「……赤字になったら陸奥先輩の負担」
龍之助 : 「ぎゃーー」
ユヤ : 「このくらい締めてくれると助かるわー」
龍之助 : 「いつも一番金銭感覚ヘンなのユヤちゃんじゃんか!」
ユヤ : 「やー大丈夫、こう札束でほっぺたパーンて」
GM(真琴) : 「……どうでもいいけど早くしてください」
PL : (笑)
龍之助 : 「わ、わかった! じゃあさ、女の子のほうが衣装大変なんだから、まずそっから準備するといいよ」
シオリ : 「えっ」
龍之助 : 「俺手伝うからさ。着替えとか」
シオリ : 「え、えっ」
GM(カオル) : 「いいなあ、シオリちゃん可愛いからきっと似合うよ!」
シオリ : 「き……着な」
ユヤ : 「そうねえ、シオリちゃんには可愛いの着せてあげたいわね」
シオリ : 「え……っ」
秘野森 : 「生徒会は、生徒会の出し物を準備すると同時に、この学園全体の文化祭の監視をしなければならない。それが大変なところだ」
龍之助 : 「うわ、そうだよな。……でも、見て回ってればいいんだよな?」
ユヤ : 「何でサボり魔が2人も居るのかしら」
龍之助 : 「いや、やっ、やる気あるよ、あるよ! ちゃんと見て回って応援するよ! 全体の約二分の一を」
ユヤ : 「男子も見るの!!」
秘野森 : 「生徒会はやることが多い。だがそれは、生徒会という名と役職を身につけているからこそ課せられる当然の責任だ」
3人 : 「はーい」
GM : では、ドタバタと喫茶の準備を始めた生徒会室からちょっとカメラを引くんですが。ここで、お互いに自己紹介をしてもらえるかな。でね、今回の場合は「高校生としての自分」を意識して紹介してほしいんだ。
ユヤ : 流派とか言わない。
GM : そう、流派とか言わない(笑)
龍之助 : お金持ちとか、数学が得意とか。
GM : それ。そうするとキャラクター同志、距離が取りやすいからさ。それと、この後ちょっとこれが重要になるんだ。
ユヤ : 爆弾処理に長けています。
GM : だからそこじゃなくて!(笑)
GM : じゃ、あとはNPCだね。
水波カオルは、一言で言って「真面目で明るい」。どんな仕事でも楽しそうにこなします。大変な仕事が来ても、「どんなことも、楽しもうと思えば大概楽しめるもんさ!」っていうのが彼の持論です。
ユヤ : いい子だ。で、
龍之助 : プツッといったら危なそうなタイプ。
ユヤ : なんでプツッと行かせるんだよ!
龍之助 : 80人くらい殺しそうなタイプ。
ユヤ : シリアルキラー!?
GM : 雰囲気は穏やかで、身長はひょろっと長いほう。穏やかな雰囲気を持っている。眼鏡をかけてて、いつもにこやか。
シオリ : なるほど。
GM : ほわーんとしたイメージで演出して行こうと思ってる。
GM : 諸星真琴は、ショートカットの女の子です。下の名前が同じ歌手をイメージしているんですが、
龍之助 : わ、懐かしい!
GM : いつも気だるそうにしています。目は大きめで、少し童顔ぽく見えます。
シオリ : 気だるそうにしてる割には、早くしろとか言うのね。
GM : それは彼女の使命「早く家に帰る」のためですね。
シオリ : ……あ(笑)
GM : シオリみたいに文化祭を「無事終わらせたい」とか、秘野森みたいに「成功させたい」とかでもなく、とにかく終わればいい、帰れればいいっていう使命だから。得意教科は美術です。
シオリ : シオリの不得意教科は音楽と体育。あとは全部得意です。
ユヤ : 家庭科なら任せて!
龍之助 : 体育と英語。
秘野森 : そこそこ何でも無難にこなす。苦手に見えるかもしれないけど武術の体育は得意だ。
GM : さて、みんなそれぞれのキャラのことをよく聞いたね? これは今から配る【パーソナル秘密】に関係してきます。
ユヤ : お?
GM : パーソナル秘密の一種、【告白】というのを適用します。このシナリオではね、みなさんのキャラクターとNPC全6人は、すべてこの生徒会の中に自分の想い人がいます。
龍之助 : おおお!!
ユヤ : いいねいいね、盛り上がってきた! 男女3人ずつにしてよかったな。「ねえねえ誰が好きなのよ!」
シオリ : って言ってるユヤちゃんもなんだよね?(笑)
龍之助 : それは、今決めた方がいいですか?
GM : 今から【パーソナル秘密】のシートを配ります。君たちは「一般人」ではなく忍者なのですが、今回は特別に【パーソナル秘密】を持ちます。
シオリ : へええ!! えっと、プライズ扱いとかではなく?
GM : もうひとつ秘密を持つとして扱います。
秘野森 : なるほど、そう扱うのか。
シオリ : ていうことはさ、だれかの【秘密】を調べて成功したら?
GM : ランダムでどっちかが分かることになる。
シオリ : なるほど。
秘野森 : 【社交性】を取っとけば良かった!
ユヤ : 持ってる!
龍之助 : やった!
パーソナル秘密【告白】 |
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この【秘密】を修得した時、キャラクター1人と【感情】1種を選ぶ。この【秘密】が公開されると、【秘密】の持ち主は、そのキャラクターに対しその【感情】を獲得する(既に何らかの【感情】があれば、変更される)。ゲーム終了時、自分とそのキャラクターが、互いに対して同じ【感情】を持っていれば、功績点を2点獲得する。 |
GM : この【パーソナル秘密】のシートには、今すぐに「誰が好きなのか」を書き込んでおくこと。で、指定する【感情】は今回の場合は「愛情」に固定します。これが公開されると相手に「愛情」を抱くっていうしくみになってる。
ユヤ : 抱くのか。ほうほう!
龍之助 : その「愛情」は、恋愛の意味に限定されている?
GM : そう。
龍之助 : 友愛や家族愛ではダメ。
GM : 今回はね。確実に恋愛の愛情を指定します。
秘野森 : ラブ。
龍之助 : はい。
GM : ゲーム的な効果としては……ゲーム終了時、自分とその対象のキャラクターが互いに対して「愛情」を持ち合っていた場合は、功績点がもらえます。
ユヤ : 好きだった人と両思いになると嬉しい。
GM : そういうこと。
龍之助 : 明かされたほうがいい【秘密】……?
GM : そうだね、ある意味。
ユヤ : 恋っぽい。
秘野森 : つまり、片思いの秘めたる恋心があって、それが【パーソナル秘密】を明かされることで明らかにされてしまう。
GM : 自分が片思いする相手をここに書けってことだな。
秘野森 : そして特に異性にしろとは書いていないと。
GM : あ、気づいた(笑)
龍之助 : イヤ冒企さんのゲームだけども!?
秘野森 : ほら。ほら。
龍之助 : お、女PLが全部BL平気だと考えるのは危ないんだから!
シオリ : あはは(笑)
龍之助 : どちらかというと私は百合派だ!
ユヤ : それは本当に常々思うんだが俺はどうしたらいいのかな!?
GM : このシナリオのイラストに描かれてる通り全員女子PCでやった時はすごいことになったよ。全員空手部で男にしたときはそりゃもう。
シオリ : それはせめてGMがNPC2人をマネージャーにして!(笑)
GM : そしてNPCも書きます。(カオルと真琴の【パーソナル秘密】シートに書き込む)
ユヤ : お、今?
秘野森 : きっと好みのタイプ表とかあって、それに当てはめて選択されるんだ。
秘野森 : 書いた。
ユヤ : 早!
GM : NPCも書いたよ。さあ、あとは君たちの誰が誰を指定してくるのかドキドキだ。
ユヤ : お互いに向け合えるかどうかは、運だよね、正直。
GM : うん、すっごい集中するかもしれないし。
シオリ : じゃ、このプライズ、誰も手に入れない可能性もあるよね。
ユヤ : ある。
秘野森 : 何とか手に入れる方向に動かなきゃいけないから、
龍之助 : う、誰が好きか決めた時点で誰の手にも入らないことが決まっちゃうかもしれないから、予測しながら選ばないとまずい……?
秘野森 : このパーソナル秘密の効果だけで、ならね。
ユヤ : そうか、この秘密で「愛情」向け合えなくてもいいのか。普通の手段で【感情】持たせれば。
秘野森 : で、「愛情」にならなかったら殴ればいい。「俺を好きになれェ!!」
龍之助 : なんて!?
GM : あってる(笑)
ユヤ : じゃ、まずは私が【パーソナル秘密】を暴露しまくっててんやわんやな事態にすればいいんだな!
GM : おう、頼むぜ!
生徒会室には、6人の役員が集まっていた。
窓から体育館の方を見ていた生徒会長・秘野森匿太郎が、静かに口を開く。